COLUMNコラム
後継者候補も必読! 理想的な「会社を引き継ぐ流れ」とは?
経営者の高齢化が進む中、事業承継は中小企業にとって重要な課題となっています。後継者に会社を引き継ぐ際には、円滑な過程を経て成長を継続することが求められます。本記事では、経営者だけでなく後継者候補も知っておくべき「会社を引き継ぐ流れ」について、大きく4つのステップに分けて解説します。
目次
ステップ①「事業承継の目的・目標の明確化」
事業承継の目的は、会社の将来を見据えた経営継続を図ることです。事業承継に向けた目標を明確にすることで、経営者と後継者候補が一致したビジョンに基づいて行動することができます。
目標設定の際には、会社の現状と将来の方向性、経営者の意向、後継者の能力や適性などを考慮しましょう。具体的な目標としては、業績目標や市場シェアの獲得、新規事業の展開、組織風土の改革などが挙げられます。
ステップ②「事業承継計画書の作成」
事業承継計画書とは、現経営者の情報、会社の現状(財政状態)、誰に引き継がせるのか、何を準備するかなど事業承継の内容をまとめた書類のこと。
事業承継を成功させるためには、まず計画を立てることが重要です。事業承継計画書では、承継時期や後継者の選定基準、事業承継にかかる費用や手続きの概要を明確にしましょう。
「事業承継計画書」を作成することで、以下のようなメリットを得られます。
① 現状を把握でき、中長期的な目標も明確になる
② 現経営者と後継者で、認識をすり合わせられる
③ 従業員や外部からの理解・信頼を得やすくなる
事業計画書作成の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「事業承継を成功に導くロードマップ!「事業承継計画書」の作成のコツとは?」)
ステップ③「後継者の選定基準と育成計画の策定」
親族内承継で後継者がすでに決まっているのならいいですが、もし決まっていないなら後継者の選定基準と育成計画を策定することが大切です。
日本の中小企業の後継者不足は、今や社会問題のひとつとなっています。帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査」(2021年)によると、対象企業およそ26万6000社のうち、後継者が「いない」または「未定」と答えた企業は16万社にのぼりました。全国の企業のうち、実に60%ほどが後継者不在に陥っているのです。
後継者の選定基準は、「経営者としての資質や能力、経験」「会社への理解」「業界知識」「リーダーシップ」などが考慮されます。
選定された後継者に対しては、経営者の意思やビジョンを理解し、実践できるように育成計画を策定しましょう。育成計画には、経営戦略やマネジメントスキルの習得、業務知識の深化、人間関係の構築などが含まれます。
後継者育成のポイントは、以下のとおりです。
・早期から育成を行う
・社内のさまざまな業務
・部門を経験させる
・現経営者の「カバン持ち」をさせる
・幹部を任せる
・他社で修行させる
・セミナーや経営者塾に通わせる
・他社事例に学ぶ
詳しくはこちらで解説していますので、ぜひご一読ください。
(「「カバン持ち」も有効! 後継者育成のポイントとは?」)
ステップ④「税務・法務対策を考える」
事業承継において、税務・法務対策は避けて通れない課題です。具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。
税務対策
事業承継には、贈与税や相続税、所得税などの税金が発生するのが基本です。これらの金額は中小企業であっても億単位でかかることもあります。事業承継税制の活用、生前贈与などの税務対策を行うことで、税金の負担を軽減し、事業承継のコストを抑えることができます。
事業承継に伴う法律手続き
事業承継には、株式譲渡や株式の増資・減資、合併や分割、会社の解散・清算など、さまざまな法律手続きが伴います。
また、事業承継において、法人組織の見直しも重要な要素です。組織の形態や資本構成を変更することで、承継がスムーズに進むことがあります。例えば、持株会社制を導入したり、株式会社と合同会社を組み合わせたりすることで、承継が円滑に進むことがあります。
事業承継に伴う契約の見直し
事業承継に伴い、取引先や従業員との契約を見直すことも重要です。取引先との契約内容や条件の見直しを行い、新たな経営者が円滑に業務を継続できるようにする必要があります。また、従業員との雇用契約や労働条件も、事業承継を機に見直すことが望ましいです。
まとめ
事業承継は、企業の将来を左右する重要なプロセスであり、その成功は経営者と後継者双方の努力によって成し遂げられます。事業承継に関する知識を持ち、適切な対策を講じることで、円滑な事業承継が実現できるでしょう。
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