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家業を継ぐメリット・デメリット! 後継者が抱えがちな悩みの種とは?

中小企業にとって後継者不足や経営者の高齢化が不安視されている中で、家業を引き継ぐかどうかは重要な事業承継の問題です。本記事では、家業の引き継ぎを考えている経営者・後継者に向けて、家業の引き継ぎに関する基礎知識、家業を継ぐメリットやデメリットになり得る悩みの種について解説します。

家業を継ぐタイミングや承継の流れとは?

家業の承継は家族企業にとって避けられない重要な過程なので、適切なタイミングで事業承継を行い、ビジネスの継続やスムーズな運営に努めましょう。

家業を継ぐ適切なタイミング

適切なタイミングとしては、親が引退を考慮し始めたときや亡くなったときが挙げられます。引退を考慮し始める理由は、親自身の健康状態、現在の業績や市場の動向など、さまざまな背景が考えられるでしょう。

また、親が突然の病気や事故で亡くなってしまった場合、資産の分配問題や後継者選びなど多くの課題について解決しなければいけなくなります。どのような事態が起こっても対処できるように、親がまだ生存していて元気なうちから継承計画をしっかりと立てておき、後継者の育成をスタートさせることが非常に重要です。

さらに、後継者が家業を引き継ぐのに十分なスキルや経験、ノウハウを持っていることは、家業の将来を左右する一つの大きな要因です。そのため、後継者が外部の機関やほかの企業で豊富に実務経験を積むなどして、社長としての一定の水準に達したタイミングは、家業を承継する絶好の機会です。

家業承継の流れ

家業承継の流れは以下のように進めましょう。

①後継者の選定と調整
後継者の選定は、経営に対する情熱やビジョン、リーダーシップ能力、コミュニケーションスキルなどさまざまな要素をもとに判断するようにしましょう。その際、家族だけでの議論では偏見や先入観にとらわれる可能性もあるので、外部の専門家などの第三者に相談することも大切です。専門家は、ほかの家族承継の事例をもとに適切なアドバイスを提供してくれたり、不安や悩みを聞いてくれたりなどサポートしてくれます。

②株式の管理と把握
家業、特に会社経営において、誰がどれだけの株式を保有しているのか、その割合はどうなっているのかなどの所有構造を把握することは重要です。所有構造の情報は、株式台帳などの公的な記録から得ることができます。また、将来的に株式の移転や譲渡を予定している場合、所得税や贈与税、相続税などさまざまな税務上の対応をしっかりとしておかなければ、後継者が多額の税金を負担することになりかねないので注意しましょう。

③個人保証や債務の調整
個人保証とは、もし会社が負債を返済できなくなった場合に、その責任を個人が負うという約束のことです。個人保証や債務の調整を行うことは、後継者自身のリスクを最小限に抑えることができ、経営が安定しやすいため重要な手続きです。

④承継の実施
まずは、企業の所有権や経営権を先代から後継者に移転したり、株式を譲渡したりする経営権の移転を行います。
次に、企業が所有している不動産や機械などの貴重な資産を後継者に移転する資産の譲渡を行います。
最後に、取引先や従業員、そのほかの関係者と新しい契約を締結したり、既存の契約を更新したりして承継は完了です。

⑤取引先への情報共有
信頼関係の維持はビジネスにおいて非常に重要な要素であるため、承継に関する情報は取引先や顧客など関係各所へ必ず通知しましょう。

家業を継ぐメリット

事業を一から立ち上げる必要がない

家業を継ぐ大きなメリットとして、事業の基盤や仕組みがすでに整っているので、スタートが早いことが挙げられます。基本的な方針などを一から築きあげ、失敗するリスクがある新規事業とは異なり、家業承継は承継直後の事業活動が可能なので、利益確保や成長のチャンスを迅速につかむことができます。

定年・リストラの心配がない

家業承継では、60歳や65歳で定年を迎えたり、会社の都合によって解雇を言い渡されたりする心配がありません。しかし、後継者の裁量によっては、定年を迎える前に倒産・廃業してしまうケースもあるので、受け継いだ事業を継続させられるように尽力することがポイントです。

事業譲渡・会社売却により利益が発生する

家業を引き継いでから一定期間運営を行い、事業譲渡や会社売却をすることで利益を得ることができます。しかし、会社売却では経営者自身が利益を獲得できますが、事業譲渡では会社に利益が入るという点を理解しておきましょう。

家業を継ぐデメリット

経営を学ばなければならない

家族経営といっても、業界の専門知識や技術など、必要となる知識とスキルはサラリーマンとまったく異なるため、現在の経営状況や今後の見込みを検討して運営していかなければいけません。

廃業のリスクがある

先代のように会社の運営が思うように進まず、業績を悪化させてしまい、最終的に廃業してしまうというリスクもあります。廃業の危機が目の前に迫ってきたら、無理をしてでも事業を継続するのか、諦めて廃業するのかを慎重に選択する必要があります。

債務や借金も引き継ぐ可能性がある

家業を継ぐ際は、親から株式を譲渡されるケースが多く、株式譲渡ではすべての資産だけでなく、負債も引き継ぐことになります。したがって、相続前に負債の割合や簿外債務の有無などを自分で確認しておきましょう。

従業員との関わり方で苦労しやすい

古株の従業員や経営幹部から後継者が非難を受け、人間関係に傷が生じる場合もあります。人間関係の構築に得意な後継者を選んだり、事前に従業員に周知しておいたりするなど前もって準備しておくことが肝要です。

まとめ

親族内で家業を引き継ぐことも事業承継の一般的な方法ですが、経営者になるという決断は簡単にできるものではありません。デメリットも踏まえた上で、経営者と後継者の双方が納得のいく答えを出すようにしましょう。

過去記事では、家業承継で後悔しないポイントについても紹介しているので、ぜひご参照ください。
「家業承継で後悔しないためのポイントと注意点」

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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