COLUMNコラム
後継者不足の実態とは? 深刻化した背景と解決策について解説!
事業承継を考える上で、後継者不在の問題に直面している方もいるのではないでしょうか。後継者不足による経営者の高齢化は、今や社会全体の深刻な問題となっています。
今回はそのような問題を受けて、中小企業の後継者不足の実態、増加した背景、解決策について解説します。
目次
「後継者不足」が増加した背景と最新動向
後継者不足が増加した背景として一番に考えられる要因は少子化であり、従来の親から子へと会社を承継するスタイルが、現在は一般的ではなくなりました。
また、AIの進化なども影響し、事業の将来性に不安を抱えていることで、継ぎたいという後継者が見つからないだけではなく、経営者自らが継がせたくないと考えている現状もあるようです。
帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、全国約27万社のうち後継者不在率は57.2%であり、前年の61.5%よりも4.3%低下しました。
近年、後継者不在率は低下している傾向にありますが、全国の半数以上の企業に後継者がいないという状況は依然として続いています。
後継者不在の割合が低下した理由として挙げられるのは、事業承継の「脱ファミリー化」です。
脱ファミリー化は後継者不足が増加した原因としても考えられていますが、一方では子どもや親族以外に目を向けることで、後継者の選択肢が広がるため、後継者不在率の低下の要因にもなり得ているのです。
同調査内の結果より、後継者候補の属性として最も多かったのは「非同族」の36.1%で、調査開始以来初めて「子ども」の割合を上回りました。
家族で経営を続けてきた老舗企業も、次第に脱ファミリー化に乗り出しているようです。
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経営者の高齢化が深刻化
後継者不足と同時に不安視されているのが、経営者の高齢化です。後継者が不在であることを理由に、定年を迎えても会社経営を続ける経営者は多く存在しています。
帝国データバンクの調査でも、32年連続で経営者の平均年齢は上昇しており、2022年時点で60.4歳と、過去最高年齢を更新しました。
また、社長が引退する平均年齢は68.8歳であり、70歳を目前とした年齢まで経営者として働いているというのが実情です。
経営状態の悪化から、「引き継がない」を選択する企業が急増
経営状態の不振により、後継者が会社を引き継ぎたくないと考えることも、後継者不足の要因ですが、経営者自らが後継者に「引き継がない」という選択をする傾向も増えつつあります。
会社を引き継がないことは、子どもや親戚を無理やり後継者に指名することや、事業承継後に経営に対して心配する必要がないなどのメリットがあります。
一方、従業員を解雇しなければならないという点が、最大のデメリットであり、取引先や顧客にも不利益が及ぶ恐れがあるので、廃業については十分に検討する必要があります。
後継者不在の解決策は?
ここからは、後継者不在を解決するための方法を4つ解説します。
後継者を探すための方法はいくつかありますが、コストや期間なども考慮し、自社に最適な解決法を選択するとよいでしょう。
①事業承継や後継者探しのサポートサービスを利用する
各都道府県には、事業承継・引継ぎ支援センターという、中小企業の事業承継をサポートするための公的機関が設置されています。
各地域に設置されているので相談に行きやすく、基本的に無料で利用できます。
登録するだけで条件に合った後継者候補者とマッチングできるので、効率的に後継者探しを行えます。
また、WEBで利用できる事業譲渡のマッチングサイトも増えており、うまく活用すれば買い手探しにも役立てられます。
トラブルやリスク対策のために、仲介会社や金融機関、弁護士などの専門家に相談することもおすすめです。
②後継者候補を教育する
親族や従業員に後継者候補がいない場合は、外部から後継者候補を探して入社してもらうことも解決方法の一つです。
入社後の教育を行えば、自社の業務を覚えるだけでなく、理念や経営方針も身につけられます。
他の従業員や取引先との関係も構築できるので、円滑な事業承継には適した方法と言えるでしょう。
③会社の技術やノウハウ、将来性を外部にアピールする
譲渡先や、外部から後継者を探す際には、自社の企業価値を伝える必要があります。
外部へのアピールのために、自社の分析や磨き上げを行えば、事業成長にもつなげられます。
各種メディアや広告、SNSなどを活用することで注目も集められるので、自社に最適な方法でアピールするようにしましょう。
④株式公開する
株式公開とは、公開取引市場に株式を公開して、自由に自社の株式を売買できるようにすることです。
株式公開により、会社の透明度や株式の流動性が高まり、買い手がつきやすく、経営権を後継者に承継することも容易になるというメリットがあります。
「こちらもおススメ!:「後継者人材バンクについて徹底解説。事業承継に役立てたい!」
まとめ
本記事では、後継者不足の実態や解決策について解説しました。
後継者不足が懸念されている中、後継者不在の割合が低下していることは良い傾向と言えますが、後継者不足に伴って、経営者の高齢化や廃業する企業の増加などの問題も深刻化していることには変わりありません。
過去記事では、親族外承継のメリット・デメリットについても解説しているので、ぜひ後継者探しに活用してみてください。
「後継者不在を解決!「親族外承継」のメリット・デメリットと手順」はこちら
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