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事業承継を「銀行」に相談するメリット・デメリット

事業承継を相談する先としては、さまざまな相手が考えられます。そのうちの一つ、多くの経営者が思い浮かべるのは「銀行」でしょう。本記事では、事業承継を銀行に相談するメリットとデメリットを解説します。

事業承継を銀行に相談するメリット

まず、事業承継を銀行に相談するメリットを4つ紹介します。

①相談しやすく、的確なアドバイスをもらえる

メインバンクとして日常的にお世話になっている銀行ならば、自社の経営状態を深く把握してくれているはず。そのため、事業承継の相談がしやすく、アドバイスも的確なものになる傾向があります。

特に事業承継においては、資金面に懸念を抱く経営者が多いもの。銀行はお金のプロですから、銀行を相談相手にすれば、一番大きな悩みの解消につながる可能性が高くなります。相続の悩みも、早期から相談しておきましょう。

常日頃から自社の内情を明かしている分、一から説明せずに済み、経営者の気持ちもラクでしょう。銀行は、資金繰りのみならず、事業承継においても、孤独な経営者にとって心強い相談相手となってくれます。

②相談料がかからないケースもある

特に地方銀行の場合は、事業承継の相談料をとっていないところも。

というのも、地方銀行の場合、事業承継の相談を受けた後、別の専門家につなぐことが多いからです。そうした専門家から紹介料を受け取れるので、相談者からは手数料を受けないのです。

最初の相談の段階で手数料がかからないのは、銀行に相談するメリットだといえるでしょう。

③信頼関係を築きやすい

後継者と銀行の信頼関係が築きやすいことも、銀行に相談するメリットです。

事業承継を検討する段階から銀行に相談をし、計画的に承継を進めておけば、やがて後継者と銀行の信頼関係が築かれるでしょう。今後の事業展開を考えると、銀行を味方につけておくに越したことはありません。

④専門家に相談できる

近年では、地方銀行の行員が事業承継アドバイザーの資格を取得していることも。メガバンクの場合は、M&Aの専門部隊を有していることもあります。

事業承継の専門家の知恵を借りられることも、銀行に相談するメリットです。しかも相談料が無料とあれば、まず銀行で基本的なアドバイスをもらうのも一つの手でしょう。

事業承継を銀行に相談するデメリット

次に、事業承継を銀行に相談するうえでは、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。

①選択肢が限られる可能性がある

銀行に事業承継先を探してもらう場合、銀行のネットワーク内で探すことになるため、承継先が限定されてしまい、選択肢が狭まってしまう可能性があります。

選択肢が狭くなるため、提示された事業承継先が自社の希望にぴったり合っているとは限りません。場合によっては、自分の足で承継先を探したほうがいいケースもあるでしょう。

②手数料が高額になる可能性がある

銀行への相談料はかからなくても、そこから先、別の会社に支払う手数料が高額になる可能性があります。入り口の費用だけで判断せず、トータルの費用を確認してから依頼しましょう。

③実務は提携先が行うことになる

信頼できる銀行とやり取りをしていても、その先の実務は別の会社が担当することになります。その会社と一から信頼関係を築かなければならないのは、多忙な経営者にとってはデメリットになりうるでしょう。銀行の担当者と相性がいいからといって、提携先の担当者ともうまくいくとは限りません。

④利益相反のリスクがある

銀行から紹介された事業承継先は、銀行の取引先であるケースが多いもの。銀行は事業承継先に融資することになる可能性が高いため、売却価格を低くするなど、承継先に有利になるように交渉を進める可能性があります。

つまり、自社は高い金額で売却したいと思っても、銀行は融資を回収しやすくするため、売却価格を低くするのです。

このような「利益相反取引」は法律で禁止されているものの、法に触れない範囲で、相手に有利な条件が提示される可能性は否定できません。

場合によっては、銀行には相談のみとし、実務は別の会社に依頼するなどといった手段も検討しましょう。

まとめ

銀行の他にも、弁護士や公認会計士、税理士、公的機関、M&A仲介会社など、事業承継の相談先はさまざまあります。それぞれのメリットとデメリットを考慮した上で、相談先を慎重に選定しましょう。

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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