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事業承継の相談先は? 第1位は「顧問公認会計士・顧問税理士」

多くの経営者にとって、生涯でたった一度しか経験しない「事業承継」。不安でいっぱいになり、「プロに相談しながら丁寧に進めたい」と考えるのは当然のことでしょう。本記事では、事業承継の相談先とそれぞれの特徴についてわかりやすく解説します。

相談先の第1位は「顧問公認会計士・顧問税理士」

「2017年版中小企業白書」によると、「事業の譲渡・売却・統合(M&A)に関心のある企業の、事業の承継に関する過去の相談相手(上位3つ、下位3つ)」は以下の通りです。

【相談先の上位3つ】

①顧問の公認会計士・税理士(59.1%)
②親族、友人・知人(43.4%)
③取引金融機関(42.3%)

【相談先の下位3つ】

①商工会・商工会議所(9.1%)
②事業引継ぎ支援センター(4.5%)
③よろず支援拠点(2.6%)

事業承継の相談先として最も多かったのは「顧問の公認会計士・税理士」、次いで僅差で「親族、友人・知人」と「取引金融機関」でした。普段からやり取りがあり、心配ごとを気軽に話せる相手に相談していることがわかります。

事業承継の相談先とその特徴

次に、事業承継の主な相談先とその特徴を紹介しましょう。

顧問の公認会計士・税理士

中小企業庁の調査で第1位だった「顧問の公認会計士・税理士」。公認会計士は監査や会計、税理士は税務に詳しく、さらに顧問として普段からの信頼関係があるためコミュニケーションがとりやすく、事業承継の疑問点や悩みを相談する先としてぴったりであるといえるでしょう。特に心強いのは税理士です。事業承継税制を活用する際には、税理士と密に連携を取り、一つひとつ確認をしながら進めることをおすすめします。

なお、事業承継税制についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
「事業承継で相続税が免除になる方法!――5分でわかる「事業承継税制」の仕組みとポイント」

また、顧問の公認会計士・税理士が複数の顧問先を持っている場合、他社の参考事例をシェアしてもらえることも期待できます。とはいえ、すべての公認会計士・税理士が事業承継に詳しいとは限りません。専門的な知識を持っていない場合は、別の公認会計士・税理士を紹介してもらうのもよいでしょう。

弁護士・行政書士

弁護士・行政書士は法律のスペシャリストです。特に親族内承継を選択し、相続や遺言についての疑問点を解消したい場合は、心強い相談先となってくれるでしょう。

親族内承継についてはこちらの記事で詳しく解説しています
「大切な事業を親族へ!「親族承継」のメリット・デメリットと手順」

親族、友人・知人

中小企業庁の調査で第2位の相談先だった「親族、友人・知人」。気軽に悩みを聞いてもらえる貴重な相談先です。特に後継者選びについては、後継者候補と面識のある人の客観的な意見・アドバイスが参考になるでしょう。

やはり注意したいのは、「専門家ではない」ということ。私情が入ってしまうケースもあるため、客観的な視点を大切にすることもポイントです。

取引金融機関

調査で第3位だった「取引金融機関」も、信頼できる相談先の一つです。

近年は事業承継対策に注力している金融機関も多いもの。自社の事情を深く理解してくれているため、経営状態を踏まえたアドバイスが期待できます。

後継者が見つからない場合、金融機関ならではのネットワークで後継者候補を見つけてくれることもあります。まずは気軽に相談してみてもいいでしょう。

注意点として、融資を前提とした事業承継を提案される可能性があること。また、結局は別の専門家に相談する必要があるので、それを面倒に感じる経営者もいるかもしれません。

商工会議所

商工会議所は、経営者向けのサポートを提供する公共経済団体です。年会費を支払って会員になれば、税理士や公認会計士、弁護士、行政書士などといった事業承継の専門家に無料で相談することが可能です。

ただし、事業承継の手続きそのものを依頼することはできません。あくまで相談先の一つにはなりますが、気軽にアドバイスを求めることのできる、有効な相談先だといえるでしょう。

●事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター

事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センターとは、中小企業庁によって設置されている公的機関で、事業承継を専門とする相談先です。

事業引継ぎ相談窓口は全国各地に、事業引継ぎ支援センターは北海道・宮城県・東京都・静岡県・愛知県・大阪府・福岡県の7つの都道府県にあります。

事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センターでは、事業承継について無料で相談できるだけでなく、後継者を紹介してくれることも。公的機関で、自社の利益を考える必要がないため、フラットな情報提供や助言が期待できます。

事業承継を専門とするコンサルティング会社

事業承継を専門とするコンサルティング会社でも、プロからの助言が受けられます。ただし、費用が高額になったり、自社の利益が優先されるケースもあったりすることも。依頼の前にはきちんと評判を調べたり、相見積もりをとったりするのがよいでしょう。

まとめ

事業承継の相談先はさまざまありますが、それぞれに強み・弱み、メリット・デメリットがあります。選び方を間違ってしまうと、事業承継の進め方もまた間違ってしまいかねません。それぞれの特徴を把握したうえで、「十分な実績があるか」「他の専門家と連携しているか」を加味して選びましょう。

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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