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先送りはNG! 事業承継対策が必要な3つの理由
数年後、数十年後に迫る事業承継を考えると憂鬱になり、とりあえず頭の中から追い出す――。そんなふうに事業承継対策を先延ばししている経営者も多いのではないでしょうか。大切な事業を後世にのこしたいなら、事業承継対策はやはり必須です。本記事では、事業承継対策の必要性について解説します。
目次
事業承継対策が必要な3つの理由
なぜ事業承継対策が必要なのでしょうか。ここではその理由を3つに分けて解説します。
理由①事業を引き継ぐため
何より一番重要な理由として、会社や事業を引き継ぐことが挙げられます。
事業承継は、「やろう」と決めて翌日には完了できるようなものではありません。これまで大切に育ててきた事業を一任できる人を選び、丁寧に引き継ぎをし、あらゆる手続きが完了してはじめて実現できるものです。
もし万が一、こうした手続きをしないうちに、不慮の事故などで経営者がなくなってしまったとしたらどうでしょう。会社はパニックに陥り、事業の存続すら困難になるかもしれません。
特に、後継者候補がいなかったり、逆に後継者候補が複数いたりして、「誰に引き継ぐか」で揉めそうな会社は注意しましょう。なるべく早くから後継者候補選定のために動くべきです。
理由②トラブルを防止するため
2つ目の理由は、トラブルを防止するためです。
特にトラブルが発生しがちなのが、相続の場面。経営者の親族で“争続”に発展してしまったとしたら、事業の存続すら危ぶまれます。相続人が複数いる場合はなおさら注意が必要です。
生前のうちに現状整理をしたうえで、「誰に」「どの程度」相続させたいのか、後継者は誰にするのか、希望を決めて明言しておきましょう。
理由③節税のため.
最後に、相続や贈与にかかる税金を節税するためです。
一般的に、自社株式を相続する際には、多額の資金が必要となります。税金の支払いだけで資金を使い切ってしまい、会社の運営すらままならない……といった事態は絶対に避けなければなりません。
早期から準備をしておけば、事業承継税制を活用するなど、節税のためのアクションができるでしょう。
事業承継対策の流れ
事業承継対策の必要性が理解できたら、次のような流れで対策を行いましょう。
ステップ①事業承継対策の必要性を認識する
先ほど述べた通り、まずはなにより先に、事業承継対策の必要性を認識すること。このタイミングで専門家に声をかけるのも賢いやり方です。
ステップ②「会社の現状を把握する(経営状況・経営課題の見える化)」
事業承継対策の必要性を認識したら、次は会社の現状を把握しましょう。つまり、経営状況や経営課題を見える化するのです。
会社はどのような状態にあり、解決すべきは何か。資産と負債はそれぞれどのくらいあるか。今後の事業の見通しは。取引先との関係性はどうか。経営者個人の資産はどうなっているか――。そうした現状を紙に書き出し、整理していくと、これからやるべきことが見えてくるでしょう。また同時に、後継者に必要な要素も明らかになり、おのずと後継者候補が定まってくるはずです。
このときに書き出した内容は、のちに後継者へ引き継ぎをする際にも活用できます。
ステップ③経営を改善する
ステップ②で経営課題を明らかにしたら、一つずつ課題の改善に取り組んでいきます。
ここで改善を行う理由は、後継者のためです。経営課題が山積しているような状況では、後継者はなかなか見つかりません。沈みかかった船に乗りたい人はいないからです。
何より先に、課題解決のために奔走しましょう。「こんな会社ならぜひ継ぎたい」と思ってもらえるような会社を目指すことです。
ステップ④事業承継計画を策定する/後継者を選ぶ
このタイミングで、本格的に後継者を選定しましょう。時間をかけて後継者候補を選び、「ぜひこの人にお願いしたい」という人に声をかけて、希望を伝えます。
後継者選びでは、親族から選ぶ方法と、親族外から選ぶ方法があります。親族とは、配偶者や兄弟、子、子の配偶者など。親族外とは、役員や従業員、まったくの第三者などのことです。
親族と親族外、どちらの承継を選ぶにしても、「会社への想い」と「その人に継いでほしいと考えた理由」を真摯に説明しましょう。
晴れて後継者が決まったら、後継者とともに事業承継計画を策定します。具体的には、承継の相手、承継したいタイミング、承継までに成し遂げたいこと、承継後の方向性などを話し合い、「いつ」「何をするか」まで落とし込んで明文化します。
会社の未来について、後継者とじっくり語り合い、お互いの考えをすり合わせることが大切です。納得のいくまで時間をかけて話し合いましょう。税金なども関係してくるので、税理士など、専門家からアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。
ステップ⑤会社を引き継ぐ
社内で引き継ぎを行い、正式に会社を引き渡します。引き継ぎに要する時間は会社によって異なりますが、得意先へのあいさつなども時間をかけて行いましょう。
まとめ
事業承継対策は、多くの経営者が想像する以上に大変な時間と労力がかかります。
「忙しいから」「先のことはわからないから」と放置せずに、まずは早めに動き出すことが何よりのポイントです。まずは自社の現状を洗い出し、専門家に相談することから始めてみましょう。
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