COLUMNコラム
超基礎知識!「事業承継の種類」と「後継者に引き継ぐ要素」とは?
事業承継は、企業の存続と成長に欠かせないプロセスです。承継の種類や引き継ぐべき要素、留意点を理解し、適切な対応を行うことが重要です。本記事では、円滑な事業承継を実現するための基礎知識である「事業承継の種類」と「後継者に引き継ぐ要素」について解説します。
目次
事業承継の種類とその特徴
事業承継にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。以下では、代表的な承継方法を紹介します。
親族内承継
日本の中小企業でよく見られる、事業を配偶者、子、孫、甥、姪などに承継させる方法のこと。親族内での事業承継は、経営者の意思や家族間の信頼関係が重要であり、家族経営の継続が期待できます。ただし、親族が適切な後継者であるかどうかを客観的に評価する必要があり、また、家族間の対立が経営に悪影響を与えることもあります。
親族内承継のメリット・デメリットは以下のとおりです。
【メリット】
①早期から承継の準備ができる
②相続や贈与、譲渡の制度を活用できる
③関係者の理解を得られやすい
【デメリット】
①後継者に経営者としての素質があるとは限らない
②経営方針を変えづらい
③後継者以外の親族とのトラブルが発生する可能性がある
各項目の詳しい解説は各項目については、こちらの記事で詳しく解説しています。
親族外承継(役員・従業員)
自社の役員や従業員に承継させる方法です。自社の方針や理念、事業内容などを十分理解しており、現経営者との信頼関係が築けている人材に引き継げるため、円滑に承継できる傾向にあります。
親族外承継(役員・従業員)のメリット・デメリットは以下のとおりです。
【メリット】
①後継者選びの幅が広がる
②承継後の心配が少ない
③関係者の理解を得やすい
④企業文化を引き継ぎやすい
【デメリット】
①経営者の親族からの理解を得にくいことがある
②後継者に資金力が必要になる
各項目については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「「従業員」への事業承継はこれでOK!メリット・デメリットと手順を紹介」)
親族外承継(第三者)
いわゆるM&Aがこのケースに該当します。親族や従業員に後継者が見当たらない場合、株式・事業を第三者に譲渡することで、事業を継続させます。
株式譲渡による承継は、所有する株式を後継者に譲渡することにより、経営権を移転します。特徴は、会社の資産や債務がそのまま引き継がれ、会社の事業体としての連続性が保たれること。また、税制上の優遇措置が適用される場合があります。
ただし、株式譲渡には譲渡税が発生するため、事前に税務対策が必要です。
株式譲渡については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「売買・贈与・相続のどれを選ぶ? 株式譲渡による事業承継のメリット」)
事業譲渡による承継は、会社の事業を別の会社に移転し、新たな会社が引き継ぐ方法です。事業の資産や債務を選択的に引き継ぐことができ、新たな会社の経営に柔軟に対応することが可能です。しかし、事業譲渡には複数の手続きが必要であり、また、税務上の優遇措置が適用されない場合があります。
事業譲渡については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「間違える人多数! 「事業承継」と「事業譲渡」の違いとは?」)
親族外承継(第三者)のメリット・デメリットは以下のとおりです。
【メリット】
①後継者選びの幅が広がる
②承継後の心配が少ない
③関係者の理解を得やすい
④企業文化を引き継ぎやすい
【デメリット】
①経営者の親族からの理解を得にくいことがある
②後継者に資金力が必要になる
各項目については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(「後継者不在を解決!「親族外承継」のメリット・デメリットと手順」)
後継者に引き継ぐ要素
事業承継においては、以下のような要素が引き継がれることが重要です。
①企業文化と価値観の継承
企業文化と価値観は、経営者のビジョンや理念に基づいて形成され、企業の独自性や競争力を支えています。後継者には、企業文化や価値観を理解し、引き継ぎ、さらに発展させていく能力が求められます。
②人材の引き継ぎ
経営者だけでなく、従業員も企業の重要な資産です。人材の引き継ぎにおいては、先代経営者が口を挟むことなく、従業員の能力やポテンシャルを活かし、新たな経営体制に適応できるよう支援することが重要です。
③顧客や取引先との関係の継承
顧客や取引先との信頼関係は、企業の収益基盤を支える重要な要素です。関係を継承するだけでなく、さらに発展させる能力が後継者には求められます。
特に中小企業の場合、経営者に顧客がついている場合も珍しくないため、顧客や取引先に対しては承継後もある程度の期間、先代経営者の関わりも必要になるかもしれません。
④技術やノウハウの引き継ぎ
企業が保有する技術やノウハウは、競争力の源泉です。後継者には、これらの技術やノウハウを引き継ぎ、新たな価値を創出する能力が求められます。
まとめ
中小企業の経営者とって、事業承継は非常に重要度の高い課題です。円滑な事業承継を実現できるよう、承継の種類や引き継ぐべき要素、留意点を理解し、適切な対応を行いましょう。
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