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リブランディングの事例と成功させるための進め方を解説

新規事業ではなく既存ブランドのリブランディングを考えている人もいるのではないでしょうか。時代やトレンドは常に変化しており、新しい価値観や考え方が登場しています。したがって、創業時のままのブランディングに固執することなく、会社に対して持つ印象を変えることを目的としてリブランディングを行いましょう。ブランドの再構築について、どのようにして変化を加え、進めていくのか知りたいという人に向けて、リブランディングの成功事例と成功させるための進め方について解説します。

セガサミーグループのコロナ禍対応にみるリブランディング事例

時価総額7,235億円(2023年8月15日現在)、社員1万人のセガサミーグループは、遊技機メーカーの「サミー」とゲーム開発・製造・販売の「セガ」が、2004年に経営統合して誕生した会社です。このセガサミーグループを30代という若さで事業承継したのが、先代の息子である里見治紀さんです。

今回はリブランディングの中でもイメージ戦略としてのリブランディングである、セガサミーグループの事例をご紹介します。

①ゲームセンター事業からの完全撤退
ゲームセンターやパチンコ事業は、新型コロナウイルスによる影響を大きく受けた業界の一つです。
セガサミーグループでは、200店舗のゲームセンターおよびパチンコ店を閉じなければいけませんでした。

また、治紀さんと役員の方で最悪の事態を想定した結果、400億円の赤字が出てしまう可能性があることが判明しました。そこで、そういった大損害に陥らないために、治紀さんはゲームセンター事業から完全撤退するという構造改革を打ち出しました。

リブランディングを検討するべきタイミングの一つは、このようにビジネス環境が変化するときです。

②3分の1の職員に希望退職を募る
さらに、治紀さんは長年務めてくださった役員の方を中心に、3分の1の職員に希望退職を募りました。この決断は、治紀さんの父で元社長の治氏も予想しておらず、職員の反感を買う形になってしまいました。しかし、治紀さんは会社を潰さないことが最優先事項であると心がけており、職員の再就職先が決まるまでは支援を行うなどの退職パッケージを送る余裕があるうちにするべきであると固く決心しておりました。

リブランディングが成功するためには、このように大胆に一新することも必要です。

リブランディングを成功させるための進め方

現状を分析し、どのように変化を遂げるのか考える

リブランディングを行う際、まずは現状のブランド価値が適切かどうかを、自社と競合他社を調査して分析しましょう。周囲のイメージとビジョンにギャップが生じている場合は、リブランディングが必要であると考えられます。一方、見直してみても明確な課題やギャップが見受けられない場合はリブランディングは不要です。

意味のないリブランディングを行ってしまうと、顧客の減少や人材の流出などの失敗につながりかねないので、本当にリブランディングが必要かどうか慎重に分析することが大切です。

リブランド案を検討・実施する

次に、分析の結果をもとに自社の強みとなるポイントを洗い出し、リブランディングのコンセプトと方針について検討します。その際、ターゲット層を正確に把握しておくことが重要です。

たとえば、どのような消費者が自社の商品やサービスを求めているのか、どういったニーズに合わせて提供するのが良いのかについてです。また、リブランディングにかかるコストは企業の規模や商品のクオリティなどによって異なります。

これらのことを考慮した上で、具体的な計画を立てて、それに従ってリブランディングを実施します。リブランディング実施後は、定期的に市場調査やユーザーアンケートなどを行って成果を評価し、改善点を見つけておくことで、商品やサービスが差別化でき、より効果的な戦略構築につながります。

ブランドイメージを浸透させる

最後に、新たなブランドイメージを広く浸透させるべく、まずは社内報などで具体的な取り組みについて周知しましょう。リブランディングの方法としては、ロゴやパッケージデザインのリニューアル、販売方法の変更などと多岐に渡るため、それぞれのリブランディングに合ったマーケティングが必要です。

社外に広く周知するにはSNSなどの媒体が有効的なので、積極的に活用しましょう。

まとめ

本記事で解説したリブランディングを成功させるための進め方を押さえることで、ビジネスの成長や競争力向上につながります。今回はリブランディングの成功事例をご紹介しましたが、失敗事例を反面教師として参考にするのも良いでしょう。

過去記事では、事業承継後に自社の強みを生かして新事業を成功させた企業について掲載しておりますので、ぜひご参照ください。
(『日本の「ものづくり」パワーを将来につなげる–由紀ホールディングスの事業承継/大坪正人インタビュー#1』)

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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