COLUMNコラム
経営ビジョンは重要! 設定するメリットや策定方法、企業事例を解説
将来が読めない時代でも企業が成長し続けるために、経営ビジョンは必要不可欠です。また、新たに人材を獲得するにも、魅力あるビジョンを掲げる会社は選ばれやすいでしょう。この記事では、経営ビジョンの策定方法やメリット、有名企業の具体例を解説します。
目次
経営ビジョンとは?
経営理念と経営ビジョンの違い
経営理念は、企業の基本的な考え方や価値観であり、創業者や経営者が提唱するのが一般的です。ビジネス用語で、フィロソフィー(哲学)やクレド(信条)と呼ぶ企業もあります。
経営ビジョンは、経営理念に基づき、企業が「何を実現したいか・将来のありたい姿」を示しています。
ミッションやバリューとの違い
経済学者のピーター・ドラッカーが、著書「ネクスト・ソサエティ」で理念・ミッション・ビジョン・バリューの必要性を唱えたことから、広まったといわれています。ドラッカーは、著書「ドラッカー5つの質問」で、MVVを以下のように定義しています。
・経営理念は、わが社の社会に対する抜本的な考え
・ミッションは、わが社が社会で実現したいこと
・ビジョンは、わが社のミッションが実現したときの状態
ドラッカーが唱えたように、それぞれ意味が異なります。ベースはすべて経営理念にあり、ゴール(ビジョン)に向けて果たすべき任務(ミッション)や行動(バリュー)があるイメージです。
<経営理念とMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)>
経営理念 | 企業が大切にする考え方や価値観 |
ミッション(Misson) | 企業が日々果たすべき任務や使命 |
ビジョン(Vision) | 企業が目指す将来像やゴールを示したもの |
バリュー(Value) | ビジョンやミッションを達成するための行動指針 |
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経営ビジョンを設定するメリット
会社の方向性を示せる
経営ビジョンが明確になると、社員一人ひとりの目指すべき方向性が定まります。そのため部署や業務が違っても、会社の判断基準に基づき、自主性をもって業務を進めることが可能です。また、社内で自分のやるべき仕事や存在意義がはっきりすると、社員は高いモチベーションを持って仕事に取り組めます。
ステークホルダーからの信頼を得られる
経営ビジョンは社外にも公表されます。経営ビジョンが明示されていると、企業のブランドイメージや価値向上につながります。また、顧客だけでなく、投資家やクライアントにも企業の方向性を示すことができるため、共感できる経営ビジョンは信頼を得やすくなるでしょう。
ビジョンに共感した人材を獲得できる
就職や転職活動では、経営ビジョンや経営理念は求職者の判断基準になります。ビジョンに共感した求職者は、入社後のミスマッチを防ぐことができ、離職率の低下にもつながります。
経営ビジョンの策定方法
予測が難しい未来を想像し、ビジョンを掲げるには、事業環境を整理し分析しなければなりません。ここからは、経営ビジョンを策定するステップを紹介します。
現在の事業内容を整理する
まず、業績や事業内容を正しく把握します。具体的には、提供している製品やサービスの内容、価格、顧客や取引先からの声などを細かく分析していきます。現状を把握すると、将来像がイメージしやすくなるのです。
事業環境の変化を把握する
自社の事業内容を整理できれば、次に事業環境の変化を把握しましょう。フレームワークを活用した市場分析がおすすめです。具体的な分析方法を紹介します。
1.PEST分析
・Politics:政治的な要因
・Economy:経済的な要因
・Society:社会的な要因
・Technology:技術的な要因
4つの観点から、現状を整理し将来の動向を予想します。現代は将来の予測が難しい時代です。
Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をとってVUCAの時代と呼ばれています。先が読めないからこそ、仮説を立てて将来自社の取り巻く環境を予測し、経営戦略を構築する必要があるのです。
2.ファイブフォース分析
商品やサービスの業界分析を行います。ファイブフォースは、「業界内競合」「新規参入」「代替品」「買い手」「売り手」5つの要素からの脅威や力を分析する方法です。
脅威を分析すると、自社の強みや課題を把握でき、取るべき対策を講じられます。
そのほか、3C分析やSWOT分析を用いて事業環境の変化、現状を把握しましょう。
将来のニーズを予測し、自社のありたい姿を想像する
事業環境の変化を把握したら、将来のニーズや課題を予測しましょう。5年後、10年後と中期的に予測し、会社の将来像をイメージします。具体的には、以下の3つをイメージします。
・どのようなサービスや商品を提供するのか
・どのように社会貢献したいか
・成し遂げたい役割
経営理念や価値観をベースに考え、現実的なありたい姿を想像します。
描いたビジョンを言語化する
会社の将来像をイメージできたら、それを言葉で表します。イメージを構成する要素をわかりやすい言葉で抽出しましょう。共感を得やすく、イメージしやすいビジョンが望ましいです。また、経営ビジョンは、経営理念や価値観と整合性がなければ、ステークホルダーからの共感を得にくくなります。新たにビジョンを策定する際は、整合性の確認も必ず行いましょう。
有名企業の経営ビジョン事例
ソフトバンク
ソフトバンクグループは、携帯電話事業やIT事業を展開する会社です。
経営理念「情報革命で人々を幸せに」を基に、2010年に30年ビジョン『「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を目指して』を掲げました。バリューは「努力って、楽しい」を掲げ、わかりやすい言葉を使って表されています。
ニトリ
株式会社ニトリは「お、ねだん以上」のインテリア商品やサービスを提供し、国内外に900店舗以上を展開しています。経営理念は「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」、2003年に30年ビジョンを掲げ、中期的にみた売上高や店舗数の目標を設定しています。
・2032年 3,000店舗 売上高 3兆円へ
・「世界の人々に豊かな暮らしを提案する企業へ」
ソフトバンクと同様に、グローバルな目標を掲げ、シンプルなワードと明確な目標設定が特徴的です。
星野リゾート
国内や海外にホテル業を展開する星野リゾートは、創業当時から設定していた経営ビジョン「リゾート運営の達人になる」を「ホスピタリティ・イノベーター」へ変更しました。
顧客ニーズの変化や、海外事情など時代の変化に伴って経営ビジョンを変革した。
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まとめ
時代やニーズの変化に伴い、経営ビジョンを新たに策定する機会があるでしょう。目的が明確な経営ビジョンは、社員や組織がより成長するための、軸となるものです。また、事業承継においても経営ビジョンは非常に重要になります。
過去の記事では、事業承継に焦点を当てた経営ビジョンについて解説しているので、参考にしてみてください。
「事業承継に必須! 経営ビジョンの意義と立て方のポイント」はこちら
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