COLUMNコラム
株式譲渡において重要な株式譲渡契約書 作成方法を徹底解説
株式譲渡契約書とは、会社の株式を売主から買主に対して譲渡するという内容が記載された契約書です。株式譲渡契約は、個人間で交わされることもありますが、事業承継の方法としてもよく利用されています。 本記事では、株式譲渡を考えている人向けに、株式譲渡契約書の記載項目、ひな型などの作成方法について解説します。
目次
株式譲渡契約書の主な記載項目7つを解説
株式譲渡契約書とは、会社の株式を譲渡するときに譲渡人と譲受人の間で締結する契約内容が記載された合意書面です。株式譲渡は、合併や会社分割のように会社法による定めがないため、株式譲渡契約書を作成することで法的拘束力を持たせます。
また、株式譲渡は事業譲渡とは異なり、会社の経営権の移転が伴ったり、譲渡代金が高額になったりする場合もある重要な取り引きなので、契約書は不備がないように注意して作成する必要があります。
株式譲渡契約書において、記載が必要となる項目は以下の7つです。それぞれの内容については、次項で詳しく解説します。
・譲渡合意
・譲渡代金の支払い方法
・株主名簿の名義書換
・表明保証
・契約解除
・損害賠償
・競業避止義務
譲渡合意
譲渡合意は、株式取引の主な内容を記載する項目です。具体的には、譲渡する株式の種類や数、対価の金額を記載します。
これらは契約締結前に決定するものですが、当事者間で認識の違いが発生する場合もあります。トラブルに発展するのを防ぐために、譲渡合意において譲渡対象株式を特定しておくことが重要です。
譲渡代金の支払い方法
譲渡代金の支払い方法の項目では、譲渡代金、支払期日、振込先口座などを記載します。ただし、現金で支払うケースでは、振込先口座を記載する必要はありません。
株主名簿の名義書換
株式譲渡の手続は、譲受人が対象会社の株主名簿に記載されることで完了します。
株券不発行会社において株主名簿の名義書換を行うためには、原則、譲渡人と譲受人が共同して請求しなければいけません。株券不発行会社は株券を発行しなくても良いので、株式譲渡手続きが煩わしくないというメリットがあることから、多くの株式会社が採用しています。
また、株式の譲渡を制限している会社の株式譲渡は、対象会社の承認が必要です。株式譲渡を承認するか否かの決定は、取締役会または株主総会で行われますが、定款に別の定めがある場合もあります。
表明保証
表明保証では、譲渡人が譲受人に対して、ある特定の事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する旨を記載します。
例えば、株式の保有者が譲渡人ではなかったケースや、開示された会社の資産状況が実際とは異なっていたケースなどという予測していなかった事態が起こった場合に、譲受人が損害を被らないための項目です。したがって、クロージング(契約後の資金決済)の段階で実際の状況を確認しましょう。
ただし、株式譲渡の目的や内容、事情などによって表明保証する内容が変わるので、記載する義務はありません。
契約解除
契約解除では、どのような場合に株式譲渡契約の解除を認めるのかという解除事由を記載します。
一般的には、相手方の契約違反や表明保証違反が解除事由となることを明記します。
損害賠償
契約解除になるような解除事由が起こり、何らかの損害を被った当事者が相手方に損害賠償を請求できる旨を記載します。
損害額の具体的な証明が難しい場合もあるため、請求できる金額や期間を定めておきます。
競業避止義務
競業避止義務とは、譲渡側は譲受側の同一市区町村・隣接市区町村で、譲渡した事業と同じ事業を20年間行えないというものです。
この法令は、譲受側の事業を阻害させないためにあります。
株式譲渡契約書のひな形! 無償取引は事業承継が目的
ここでは、それぞれの項目の記載が必要となる箇所について詳しく解説します。
・譲渡合意
譲渡日「◯◯年◯月◯日」と普通株式数「◯◯株」を具体的に記載します。
・譲渡代金の支払い方法
譲渡代金「◯◯円(1株あたり◯◯円)」および口座情報を記載します。
(※株式譲渡には有償譲渡と無償譲渡があります。有償譲渡では、買い手が受け取る株式の対価を支払います。一方、無償譲渡は事業の承継を目的として、親族や知人、従業員に対して行われるものなので、対価の支払いは発生しません。したがって、無償譲渡の場合は譲渡代金の支払いの条項を省略します。)
・表明保証
「◯◯年◯月◯日」契約書の記載日を記載します。
まとめ
株式譲渡契約は事業承継としてよく利用されます。すべての株式を社長が保有している中小企業では、その株式を譲り受けた者が、事実上新たな経営者になれるからです。
株式譲渡は手続きがシンプルな一方で、譲渡実行前提条件をチェックする必要があるなどの注意点もあります。過去記事では、株式譲渡の手続きの流れからメリット・デメリットまでを解説しているので、ぜひご参照ください。
(「後継者のいない会社におすすめの株式譲渡 概要からメリット・デメリットまでを解説」)
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