COLUMNコラム
事業承継対策に保険が使える!? メリットとデメリット、注意点を徹底解説
「事業承継の問題解決に保険は使える?」「事業者の高齢化で相続税や退職金、贈与税などの管理が難しくなっているって本当?」このような疑問を抱える中小企業の経営者や個人事業主の社長の方々は、非常に多いようです。この記事では、生命保険を活用した事業承継対策を解説します。
目次
事業承継対策に保険を活用するメリットとデメリット
経営者が会社の相続・事業継承のために保険を活用することには、メリットもデメリットもあります。
保険を活用するメリットは?
保険を事業承継に活用するメリットは、次の5つです。
①後継者から自社株式を買い取り、相続後の納税資金に活用できる
②法人保険に加入すれば、死亡後に相続人のための遺産を準備できる
③死亡保険で、経営者の突然死後による資金不足に備えられる
④遺産分割・代償分割が発生したときに財源を確保できる
⑤自社株と経営者の座を後継者に同時に譲れる
多種多様な保険を利用し、相続や経営のための資金をスムーズに用意できることが、事業承継に保険を利用する最大のメリットといえるでしょう。
保険を活用するデメリットは?
一方で、保険を事業承継に活用するデメリットは、次の3つです。
①終身保険などの長期保険は、保険料が事業継承対策を圧迫する
②解約返戻金の発生で損失が出やすい
③事業承継の対象にならない保険もある
保険は、入るタイミングを間違えると節税効果が薄くなります。保険ごとの加入タイミングを把握し、解約返戻金のピークを避けられるよう加入時期を調整しましょう。
事業承継対策として保険をどう使うのか?
事業承継対策として保険を使うには、3つのコツがあります。ここで、事業承継対策としての保険活用法を解説しましょう。
後継者の負担を減らすスキーム
将来の後継者のため、税金負担をいかに減らせるかを考えることは非常に重要です。節税や株式の圧縮、遺産相続の問題解決などの「計画や枠組み」を必ず構築することで、継承時のもめごとを防ぐことができます。また、税金を減らす、資金を増やす計画はもちろん、従業員の処遇などもきっちりスキーム化するようにしましょう。
使える保険の種類は?
生命保険にはさまざまな種類があり、適した加入・運用期間や必要な資金はそれぞれ異なります。ここで、各種保険に適した運用法と運用期間を見てみましょう。ぜひ、事業承継に保険を利用する計画を立てる際の参考にしてください。
保険の種類 | 適した運用法 | おすすめの運用期間 |
生命保険(個人) | ・相続税の納税対策 ・相続税の納税資金 ・経営者の死亡後の資金準備 | 短期~長期 |
終身保険(法人) | 株式の相続税対策 | 短期~長期 |
長期平準定期保険 逓増定期保険 | ・会社の利益圧縮 (損金算入割合が大幅に制限される点には注意) ・株式の生前贈与 | 逓増定期保険:5~10年 長期平準定期保険:20~30年 |
個人契約と法人契約のどちらを選ぶべき?
保険を契約するときの名義は、個人・法人の2種類があり、それぞれメリット・デメリットは異なります。個人保険は非課税枠に入るため、相続税対策として効果的です。一方、法人保険は最高解約返戻率が50%以下なら、保険料の全額を損金算入できるメリットがあります。
どちらの保険が適しているかわからない方は、弁護士や税理士、公認会計士やM&Aコンサルタントなど、専門家に指示を仰ぐことをおすすめします。
事業承継対策として保険契約するときの注意点
続いて、保険契約の際の注意ポイントを2つ、解説しましょう。
キャッシュフローに気をつけよう!
保険を利用するときに気をつけたいのが、キャッシュフローへの負担です。保険期間が長い商品は、特に利益を圧迫しやすい傾向にあります。保険運用では高額な損金が出ないよう必ず資金を確保し、保険ごとのリスクを把握して事業承継やM&Aを行ないましょう。
法改正で「節税保険」は封じられた?
かつては節税対策のために加入する「節税保険」もありましたが、2022年現在ではこの商材は禁止されています。法で禁止されているのは、逓増定期保険の一部の商品です。納税を逃れるのではなく、「保険金を利用し納税分の現金を用意するため保険がある」と捉えて臨む姿勢が必要です。
まとめ
事業承継対策ができる保険は、次の4種類です。
・生命保険(個人)
・終身保険(法人)
・長期平準定期保険
・逓増定期保険
それぞれの保険ごとに得意な資産形成法は異なります。選択肢に迷う場合は専門家の指示を仰ぐのもおすすめです。 今回の記事でご紹介した事業承継対策として保険契約するうえでの注意点もふまえて、最適な保険プランを立てましょう。
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