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新規事業でマーケティング戦略を立案するポイントは?成功例と失敗例も併せて解説

新規事業を展開する際、市場調査や顧客ニーズの把握を確実に行う必要があります。そのためには、マーケティング戦略が重要です。マーケティング戦略の重要性を理解し、新規事業の成功につなげましょう。この記事では、新規事業でマーケティング戦略を立案するポイントや、新規事業マーケティングの成功例・失敗例を解説します。

新規事業でのマーケティング戦略の重要性

新規事業における「マーケティング戦略」は、事業を成功させる重要な手段です。中小企業庁による「2017年版中小企業白書」では、「新事業展開に成功する企業は、マーケティングに注力している」と記載されており、新規事業でのマーケティングの重要性を説明しています。
また、中小企業白書の第2部第3章では、マーケティング活動の要素に以下の4項目を挙げています。

1.自社の強みの把握
2.市場ニーズの把握
3.情報戦略
4.マーケティング活動の評価・検証

さらに、中小企業庁は新規事業を立ち上げた中小企業を対象に、経常利益率の調査を行いました。その内容では、上記のマーケティング活動を全て実施した企業は、いずれも実施していない企業と比べて経常利益率が増加したと解説しています。
つまり、新規事業におけるマーケティング戦略は、事業展開に重要な役割を持っているのです。

新規事業におけるマーケティング立案のポイント

新規事業の展開に大切なのは、有効な手順を踏んだ後に、マーケティング立案を行うことです。ここでは、新規事業におけるマーケティング立案のポイントを解説します。

新規事業マーケティング戦略における4ステップ

新規事業マーケティング戦略におけるステップは、4つあります。

1.顧客・競合・自社を分析する
はじめに、新規事業のマーケティング戦略で特に重要な分析を行いましょう。分析の際は、「顧客」「競合」「自社」の3要因を分析します。これは、ビジネスでしばしば活用されるフレームワーク「3C分析」を活用した分析方法です。

2.ターゲットとポジショニングを明確にする
分析の次は、ターゲット(顧客)とポジショニングを決めましょう。この段階は、「どの顧客のニーズに何を提供するか」を考えるステップです。
新規事業を立ち上げたばかりの時期は、商品やターゲットなどが明確に定まっていないため、ターゲット層を複数検討します。
ターゲットが決まったら、次はポジショニングの設定です。顧客に「自社製品を購入したい」と思ってもらえるよう、競合他社との差別化を図りながら、市場における自社製品のポジションを確立しましょう。

3.マーケティングミックスを考える
マーケティングミックスは、マーケティング戦略の中の「実行戦略」に位置付けられる手法です。このステップでは、マーケティングミックスを構成する4つの要素「4P」を考えます。
4Pは、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(プロモーション)の頭文字を取ったものです。
具体的なマーケティング戦略を決定するために、4Pをしっかり決めましょう。

4.リサーチしながらPDCAサイクルを回す
最後に、リサーチを行いPDCAサイクルを回します。具体的には、テストマーケティングや顧客インタビュー、アンケートなどを行いながら、新規事業の成長につながる要素を調査していきます。このステップがうまくいかなかった場合は、3C分析やターゲットを考える段階に戻りましょう。マーケティング戦略は、何度も繰り返して考えることが大切です。

新規事業マーケティングはフェーズごとに異なる

新規事業マーケティングでは、実行する内容がフェーズごとに異なります。特に、市場調査(リサーチ)はフェーズによって進め方が変わるため、注意しましょう。各フェーズで有効な進め方は、以下の通りです。

1.領域・テーマ選定

新規事業をこれから企画する段階でアイディアは当然重要ですが、何を基準とするかを明確に定めて企画すべきです。例えば何が顧客が求められているかを知りたい場合は、リサーチ会社や区官庁が既にアンケートを取っている場合があります。

Web上で発見できる二次データはコストがかからないほか、「XX白書」など業界別に体系立ててまとめられた書籍を購入することも可能です。

2.事業計画の設定

事業計画を立てる上で、顧客インタビューの実施がおすすめです。

顧客のニーズを洗い出すため、様々な人たちにインタビューをして、それを元に製品・サービスのプロトタイプを作成して検証することで、確実な事業計画を実現するビジョンを確立しましょう。

3.事業の立ち上げ

プロトタイプを作成した後は、実際に顧客に使ってもらいフィードバックを貰います。

顧客獲得が一番重要なため、体制によって顧客獲得のペースを進めたり、遅らせたりと臨機応変な対応が必要です。

4.事業の拡大

フィードバックを元に、改善体制を整えます。人材不足の解消や、人材確保にかかるコスト削減のため、外部リソースの検討もおすすめです。

黒字化が求められ始めるので、事業コンセプトを考えて、新たな成長基盤の構築を進めて行きましょう。

新規事業におけるマーケティングの成功例と失敗例

ここでは、新規事業マーケティングが失敗する理由と、実際にあった成功例・失敗例を紹介します。事例から、マーケティングの成功につなげましょう。

新規事業マーケティングが失敗する理由とは

新規事業マーケティングが失敗する理由は、主に以下の4つが挙げられます。

1.ニーズがない
「このサービスは、〇〇の課題を解決する手段となるはず」とリリースしたものの、実際にその課題に困っている人がいないケースがあります。そもそもニーズが存在しなければ、宣伝する媒体を変更しても、状況は改善しません。

2.リードが増えたにもかかわらず、商談につながらない
資料のダウンロードやセミナーの集客などでリードを獲得しても、商談につながらないという問題があります。理由としては、ターゲットがズレている結果、自社製品に興味を持ってもらえない原因が考えられるでしょう。

3.商談は獲得できたが、受注につながらない
大手企業が、後発で市場に参入する場合に多くあるケースです。考えられる原因として、「他社製品と差別化できていない」「製品を選ぶメリットがない」などが挙げられます。

4.受注を獲得できても、解約されてしまう
特にビジネスにサブスクリプションを導入している企業は、この問題に直面するかもしれません。サービスの使い勝手が良くなかったり、カスタマーサポートの対応に問題があったりすると、顧客離れのリスクが高まります。

新規事業マーケティングの失敗例3選

以下では、新規事業マーケティングの失敗例を3つ紹介します。

1.セブンイレブン「ちょい生」
2018年7月に、セブンイレブンの一部店舗で「生ビールサーバー」を導入する予定でした。しかし、想定を上回る反響があり、セブンイレブンは「想定以上の需要に、品質の維持や店舗での対応が困難」と判断したため提供中止となったのです。
失敗した原因には、「価格設定の戦略ミス」「顧客ニーズの調査不足」などが考えられます。

2.スーツのAOKI「suitsbox」
2018年11月、スーツのAOKIで提供されていたサブスクリプション「suitsbox」が約半年でサービス終了となりました。サービス開始時、申し込みを打ち切るほどの集客に成功しましたが、想定していたターゲット層と異なり中止を余儀なくされたのです。
顧客ターゲットと、売り出す製品のズレが原因といえます。

3.ZOZO「ZOZOSUIT」
2022年6月、ファッション通販サイトを手がけるZOZOは、採寸用スーツ「ZOZOSUIT」のサービスを終了しました。ZOZOSUITは、スマホのカメラで手軽に身体を採寸できるスーツです。
無料配布を行っていた時期があり、大きな反響を呼びましたが、配送の遅延やUIの悪さにより撤退となっています。
顧客ニーズを満たさないまま、無料配布による認知度アップを図ったことが失敗の原因です。

新規事業マーケティングの成功例3選

続いて、新規事業マーケティングの成功例を3つ紹介します。

1.ユニチャーム
ユニ・チャーム株式会社は、トイレタリーの技術を活用し、ペット用品業界に進出しました。不織布や吸収体関連の専門メーカーであることから、高分子吸収体を使用したペット用のシーツを商品化しています。
現在はペット用品のみならず、生理用品やベビー用品などの一角を担っている企業です。

2.ヤマダ電機
大手の家電量販店である株式会社ヤマダ電機は、2010年代から住宅産業に進出しました。
住宅業界に参入した理由は、近年急速な発展を続けているICT化により、IoTの普及を予想したからです。
家電のIoT化が進む将来性を見据え、リフォーム事業を展開したことが成功につながったといえます。

3.ヤマト運輸
宅配サービスのヤマト運輸株式会社では、家電修理サービスを開始しました。家電が故障した場合、問い合わせや家電の発送など、さまざまな手間・時間がかかってしまいます。
そこで、ヤマト運輸では物流・決済システムを活用し、回収から修理、返却まで全て行うサービスを提供したのです。

まとめ

新規事業を成功させるためには、マーケティング戦略が欠かせません。実際の調査では、経常利益率が高くなる傾向にあることが明らかになっています。
マーケティングの立案においては、分析や情報収集、繰り返しの検証が大切です。

また、新規事業のフェーズによっても戦略方法が異なるため、しっかりポイントを押さえましょう。

なお、新規事業を始める際は、事業承継という形で行うケースもあります。詳しくはこちらの記事でも解説しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。

(「事業承継の流れを7つのステップで解説!|事業承継総合メディア-賢者の選択サクセッション」)

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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