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事業譲渡価格の決まり方:高値で事業譲渡するためのポイント

事業譲渡を検討している中小企業経営者、後継者候補にとって気になるのが「その事業にいくらの値がつくのか?」ということでしょう。 本記事では、事業譲渡の価格の決まり方や高値で事業譲渡するためのポイントをわかりやすく解説します。

譲渡価格の決まり方

事業譲渡とは、企業が展開している事業を他の企業や個人に移譲する行為を指します。事業譲渡は、会社の成長、経営資源の最適化、事業再編など、さまざまな目的で行われます。また、後継者がいない場合や経営者が引退を考えている場合には、会社を後継者に円滑に引き継ぐ手段としても用いられます。

譲渡価格とは、事業譲渡に際して譲渡者が受け取る対価のこと。具体的な金額は事業価値(事業の種類、規模、業績、成長性など)によって決まります。

事業価値の主な算定方法は、主に以下の4つが挙げられます。

①インカムアプローチ(DCF法)

Discounted Cash Flow の略で、将来の収益力を現在価値に割り引いて企業価値を算出する手法です。将来の収益力に基づいているため企業価値を理論的に算出できるというメリットがある一方、将来の予測には不確実性があり、割引率の設定も主観的な部分があるため、算定結果には幅が出るというデメリットがあります。

②マーケットアプローチ(類似会社比較法)

類似している上場企業の市場価値を基準に、対象企業の企業価値を推定する手法です。実際の市場価値に基づくため企業価値の実勢を反映しやすいというメリットがある一方、適切な比較対象企業を選ぶのが難しく、価値調整に主観が入るため精度が低下するというデメリットがあります。

③アセットアプローチ(時価純資産法)

企業が保有する資産の時価総額から負債を差し引いた純資産額を企業価値とする手法です。資産の時価に基づくため企業価値の下限を示すことができるというメリットがある一方、収益力を反映できないため過小評価となりやすく、無形資産の時価評価が難しいというデメリットがあります。

④年買法

企業の利益を基に企業価値を算定する手法の一つで、1年間の利益を企業価値とみなす考え方に基づいています。単純でわかりやすいため企業価値の概算が容易というメリットがある一方、1年間の利益のみに基づくため長期的な収益力が反映されず、適切な平均利回りの設定が難しいなどのデメリットがあります。

「営業権(のれん)」の評価も重要!

営業権(のれん)は、企業価値を評価する上で重要な要素となります。これらは「無形資産」として扱われ、企業が長年にわたって培ってきた顧客関係やブランド力などを具体化したものです。しかし、具体的な数値を示すのが難しいため、評価方法には特異な注意が必要です。

営業権の評価

営業権とは、企業が持つ伝統・社会的信用、顧客基盤や特殊技術、取引先関係などの価値を指します。この営業権が強固であるほど、企業は安定した利益を上げやすく、企業価値が高くなります。 

しかし、営業権の評価は難しく、通常は企業価値評価の一部として扱われます。具体的な評価方法としては、過去の利益をベースに将来の利益を予測し、それに割引率を適用して現在価値を算出する収益アプローチが一般的です。これにより、営業権による将来の収益性を価値評価に反映させることが可能となります。

なお、のれんは「有形の財産価値とM&A価格との差額」であるため、営業権とは意味が異なるのですが、混同して使われていることも多々あります。

高値で事業譲渡するためのポイント

事業譲渡において高値での譲渡を達成するためには、以下の要素を考慮することが重要となります。

企業価値の向上

自社の価値を高めることは譲渡価格を高める最も直接的な方法です。具体的には、利益を増やす、顧客基盤を広げる、競争力を強化する、ブランド力を向上させるなどが挙げられます。これらの要素は企業価値評価において重要な要素となります。

事業の魅力を磨き、伝える

高い市場シェアや優れた技術、人材、ブランド力などを有する魅力的な事業は高値での譲渡が可能です。これらの魅力を最大限にPRする必要があります。

複数の買い手候補から選択する

複数の買い手候補から選択できる状況こそが高値での譲渡を実現する最大の要因です。競争を促しながら買い手選択を行う必要があります。

売り手の交渉力を高める

財務の健全性や売却の意思あるいは売却を行わない選択肢を持っていることで交渉力は高まります。必要に応じて専門家の助言を借りることも大切です。

まとめ

事業譲渡の譲渡価格は、多くの要素によって決定されます。これらを理解し、適切に対応することで、適正な譲渡価格を算出し、事業譲渡の成功につなげることが可能です。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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