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――三重県・小林運輸の事業“創”継
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生命保険を活用したスキームで事業承継に成功!
――三重県・小林運輸の事業“創”継

「日本企業の99%を占める中小企業の事業承継を進めることが、日本再生のカギである」
――このように語るのは、資本金850 億円、営業所・支店数は300 を超えるアクサ生命保険の代表取締役社長兼CEO、安渕聖司氏。さらに安渕氏は、2023年12月23日に放送された「第21回 賢者の選択サクセッション」にて、「事業承継の必要性はますます高まっているが、大きな課題に直面するケースも少なくない」と事業承継の難しさについて述べています。本記事では、全国の商工会議所と連携し、中小企業と共に歩んできたアクサ生命が、これまで積み上げてきた生命保険のノウハウをもとに保険を活用した事業承継の成功例として、小林運輸の事例をご紹介します。

自社株評価額7億円!買い取りも相続も難しい、これらを解決する方法とは?

株式会社小林運輸は、三重県津市にある運送会社です。従業員数150人、トラックの数100台以上 と、海外拠点もある地元の中堅企業として知られています。

3代目の小林信之社長は、早い時期の事業承継を考えていました。小林運輸は家族経営で、会社には妻、副社長の弟、そして入社1年目の長男が在籍しており、この長男が会社の将来を担っているといえます。

「まずはその株を渡すというのが非常に大事。これをどうやって渡すか、もらう側が苦労せずに継いでくれるかが重要」

小林社長はこのように語りますが、自社株の評価額を出したところ、株価が7億円と算出され、とても個人では買えない金額に驚愕することとなりました。

単純に7億円を相続したり贈与したりしようとすると、莫大な税金がかかってしまいます。

「絶対に無理だと思いました。なにか対策だけはしておかないと、会社が終わってしまう――すると、第三者に譲るという選択肢も必然的に出てきました」

持ち株会社(ホールディングス)を作ることを検討するが……

いったい、7億円の株をどうすれば継いてもらえるのか?――その答えを求め、小林社長は銀行に相談したそうです。

「7億円もの自社株を分散させず、次の世代に承継するにはどうすればいいのか……。するとホールディングス、要は持ち株会社をつくったらどうか、と提案されました」

つまり、入社したばかりの長男が出資して、持株会社を設立します。そして、持株会社が銀行から融資を受けて小林運輸の株を買い取ります。そのあとは子会社である小林運輸からの配当金をもとに、銀行への返済を行なうというプロセスとなります。

しかし、小林社長はこの提案に納得がいきませんでした。

「事業をつないでいくために持ち株会社を作るっていうのは、ひとつの手かもしれませんが、小手先のテクニックに思えて、僕には価値が見出せませんでしたね」

アクサ生命の解決方法

一方で、アクサ生命がまったく別の提案を行ないました。最終的に長男へ承継するまで、長い期間をかけて株の移転を行なうという方法です。

具体的には、まず、現在副社長である弟に事業を継いでもらいます。その際、小林社長は退任せず、会長として会社に残るのがポイントです。事業計画に沿って大きな設備投資をしたときなど、株価が下がったタイミングで、長男に少しずつ株を移転させていきます。

しかしこの方法において、残った大部分の自社株をどうやって受け渡すのか、という問題が残ります。

「結局キャッシュがいるので、このキャッシュをどうやって用意するかが課題となりました。僕がとったのは、保険を使うという方法です」

つまり、小林氏を被保険者にした法人契約の生命保険をかけ、将来亡くなったときに会社が 死亡退職金として遺族に支給できるようにします。これで長男も、株の相続税を納める資金が得られるわけです。そして弟にも法人契約の保険をかけ、弟が持つ自社株が将来長男にスムーズに渡るよう備えておきます。

小林社長がこの方法を選んだ決め手はなんだったのでしょうか?

「もう、信頼関係だけですね。アクサ生命さんはずっと、何年も繰り返し提案してくれました。僕が『死ぬまで働けということになりましたか』と尋ねると、『そうです』と即答されましたね(笑)。でも、これで一安心です」

まとめ

アクサ生命は、これまでに積み重ねた実績と信頼があることで永続的発展を見据えた事業承継をサポートできるといえますが、そのなかでも、生命保険を活用することで自社株を分散させずに承継を成功させた事例をご紹介しました。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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