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多様な性や障がい、国籍、年齢の人材力を生かす、注目のダイバーシティ経営とは?

4月4日は「トランスジェンダーの日」です。ひな祭り(3月3日)と端午の節句(5月5日)の間を取り、性の多様性について理解を求めるための日です。性の多様性だけでなく、障がいの有無や年齢、国籍などさまざまな特性の人が、互いを尊重して共存する「ダイバーシティ(多様性)」を企業経営に取り入れた「ダイバーシティ経営」が注目されています。

グローバル化で価値観が多様化、ダイバーシティが重要に

経済産業省によると、ダイバーシティ経営とは「多様な人材と多様な働き方を経営に取り入れてイノベーションを生み出し価値創造を達成する」ことです。

世界的にグローバル化が進んで競争が激化し、個人の価値観や消費ニーズが多様化する中、ダイバーシティ経営の重要性が増しています。特に日本は労働人口の減少が2005年以降急速に進行しており、多様な人材に支えられた柔軟性のある組織が、企業活性化の決め手になります。

ただ、特に中小企業でダイバーシティ経営の遅れが指摘されています。女性や高齢者、外国人、障がい者の活用などで、中小企業は大企業に比べて大きく水を開けられています。

多様な人材を生かすため「多様な働き方」を

一方、2020~23年に新型コロナウイルス禍で、リモートワークを始めとして働き方改革が進み、多様な働き方の重要性が認識されました。

例えば、共働きの夫婦が能力を発揮するには、夫婦双方が取得できる育児休暇の充実や、在宅勤務体制などのバックアップが必要不可欠です。

高齢者、障がい者、外国人などの多様な人材を雇用するためにも、それぞれの特性に合わせた「多様な働き方」の体制を構築することが必要になります。「多様な人材」の確保と「多様な働き方」の体制構築は表裏一体です。

東京商工会議所による「中小企業のためのダイバーシティ推進ガイドブック」(初版2009年)には「ダイバーシティを活用し好業績につなげるために何より大切なことは、多様性をもたらす人材が企業にとってユニークな人材、つまり簡単に取り替えのきかない人材であることを認識すること」としています。

ユニークな人材は、新設備の導入などでは絶対にカバーできず、彼ら・彼女らが居る状況こそが「真似されにくい企業」「同業他社の一歩先をいくことのできる企業」につながります。また、多様な“人材”があまり離職せず、中長期的に企業に貢献してくれることも肝要です。

ダイバーシティ経営を実践するために

では、「ダイバーシティ経営」を推進していくためには、何が必要なのでしょうか?
経済産業省は「ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン」でダイバーシティ経営の実践手順を7つのアクションで整理しています。

  1. 経営層がダイバーシティ推進を経営ビジョンに組み込む
  2. ダイバーシティ推進チームを結成し、人事部などの各事業部との連携を開始。さらにグループ会社、関係会社との連携・調整を推進
  3. 取締役会構成において多様性を重視した再検討とダイバーシティ推進を監督する監督体制の構築。監督体制については社外からの登用も検討。
  4. テレワークを始めとする多様な働き方制度の導入や子育て支援制度、人事評価制度の策定や見直しなどの環境整備が必要。
  5. 管理職の行動・意識改革
  6. 従業員の行動・意識改革
  7. 取り組み開始後の成果の情報発信。その発信後ステークホルダーからのフィードバックを反映した改善

経済産業省は、ダイバーシティ経営に関する各種支援ツール配布、研修会(オンライン)を開催している。問い合わせは、経済産業省経済社会政策室03(3501)1511。

(取材・文/ジャーナリスト 三浦 彰)

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