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「今年は申告漏れ、相次ぐ恐れ」税理士が指摘 東芝などTOBによる上場廃止が影響

間もなく、確定申告の期限となります。昨年、大手企業の東芝などがTOB(株式公開買い付け)による上場廃止となりました。こうした上場企業を巡るTOBの影響で、「今年は申告漏れが相次ぐケースが想定されます」と渋谷税理士法人(東京都渋谷区)の山下健人税理士は指摘しています。

自動で源泉徴収されないケースも

TOBで上場廃止となった銘柄を保有していた場合、発行会社による買い取りや株式交換が行われます。買い取りの場合、税金の猶予・免除がある「株式の譲渡」ではなく、証券会社を通さない取引となるため、特定口座内の損益は計算されません。

このため、長年、自動的に源泉徴収が行われる特定口座で上場株を保有していた人の中には、税金の精算が自動的に済まされていると勘違いし、申告漏れに至るケースがあるといいます。

国税庁のデータによると、2022年のTOBは77件あり、そのうち上場廃止後に株式買い取りが行われた件数は、44件でした。そのとき、4億7495万円の申告漏れ所得金額が見られ、追徴税額が7258万円にも上りました(※サンプル調査)。

2023年もTOB件数は高水準で推移し、大手企業の上場廃止が相次いだことから、同様の申告漏れが発生する恐れがあります。

株式譲渡の場合は

一方で、企業の事業承継などでよくみられる株式譲渡の場合、譲渡の際に発生した株式譲渡益に対して税金がかかりますが、一定の要件を満たすと猶予、免除されます。

株式譲渡益とは、保有する株式を譲渡(売却)した価格から購入価格を差し引いた利益のことで、売却価額が購入価額を下回れば損失が出る可能性もあります。課税所得額によって節税のポイントが変わってくるため、税理士らへの確認が必要です。

今年の確定申告を巡っては、自民党の裏金問題を受けて「ボイコット」を叫ぶ動きもありますが、無駄な追徴税を取られないようにしたいものです。確定申告の期限は、2024年3月15日(金)までとなっています。

※こちらの記事は追記・修正をし、2024年3月4日に再度公開しました。

(取材・文/野田知江)

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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