COLUMNコラム
日本の中小企業、後継者が決まっているのは10%だけ 事業承継が課題に、マッチング支援も登場
日本におよそ300万社あるとされる中小企業は、国内企業の99.7%を占めますが、近年、その多くが後継者不足に悩んでいます。日本政策金融公庫の「事業承継マッチング支援」は、後継者難などを理由に「事業を譲りたい」と考える人と、創業や新分野進出などを目的に「事業を譲り受けたい」と考える人をつなぐ、無料のマッチングサービスです。実績はどれくらいあるのでしょうか。
目次
事業を「譲る」のも経営者の選択肢
事業マッチング支援が始まった背景の一つが、経営者の高齢化です。2021年度版の中小企業白書や日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、2009年の日本の企業の経営者の平均年齢は59.6歳。それが2019年は62.2歳となり、毎年少しずつ上昇しています。
一方で、中小企業のうち、後継者が決まり、後継者本人も承諾している企業は10.5%しかありません。休廃業・解散企業の代表者の年齢をみても、70代以上が全体に占める割合は年々増加傾向です。
廃業には、設備や在庫の処分などコストがかかる上、雇用や取引先の事業、商品・サービスの行方など、多くの懸念事項があります。
第三者に譲り渡すことで事業を継続し、築き上げてきた会社の歴史や思いを未来に託すのも、経営者が退くときの選択肢です。
どうすれば利用できる?実績は?
日本政策金融公庫の事業マッチング支援は、どのようにすれば利用できるのでしょうか。
原則として、日本政策金融公庫に事業資金の借り入れ残高がある中小企業、小規模事業者、個人事業主が対象ですが、地域の商工会議所や商工会の紹介があれば利用できます。
譲渡希望・譲受希望いずれも、無料で利用可能だが、専門家の支援が必要な場合は費用負担が発生する場合もあります。マッチングまでの期間は、「すぐ」というケースもありますが、年単位の期間を要する場合もあります。
2022年度の申し込みは4847件(前年度比153%)あり、譲渡希望者と譲り受け希望者との引き合わせ件数は 360 件(同 147%)、成約件数は 43 件(同 215%)でした。
このサービスでは、紹介や情報提供のみを行い、事業の譲渡・譲受に関する交渉や契約手続等は行っていないので注意が必要です。
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