COLUMNコラム
事業承継アドバイザーとは? 合格率や難易度も合わせて紹介
事業承継を行ううえではさまざまな専門家に相談をすることになりますが、その選択肢として挙げられるのが「事業承継アドバイザー」です。本記事では、事業承継アドバイザーがどんな役割を担うのか、資格取得の合格率や難易度はどれくらいなのかについて解説します。
目次
事業承継アドバイザーとは?
事業承継アドバイザーとは、事業承継に関する知識を持った専門家のこと。「事業承継アドバイザー」という資格があり、この資格を取得した人が「事業承継アドバイザー」を名乗ることができます。
近年、経営者の高齢化や後継者不在などの理由から廃業を選択する中小企業が少なくありません。地域経済を支える企業が廃業してしまったら、雇用の創出や技術や知見の承継ができなくなり、その地域に大きなダメージが生じます。
こうした理由から、事業承継アドバイザーの需要は高まっています。すでに事業承継に関わっている人、将来的にM&Aや事業承継に携わる可能性が高い人なら、事業承継アドバイザーの資格を取得しておいて損はないでしょう。
事業承継アドバイザーの種類・難易度・合格率
事業承継アドバイザーには3種類あり、それぞれ運営団体と試験の出題内容が異なります。難易度、合格率と合わせて見ていきましょう。
①事業承継アドバイザー認定試験(BSA)
事業承継アドバイザー認定試験(BSA=Business Succeed Advisor)は、一般社団法人の金融検定協会(主に金融機関の職員向けの資格を運営している団体)によって運営されている資格試験です。事業承継アドバイザーの中でも、最も知名度があります。
概要は以下のとおりです。
・問題構成:5択問題が50(各2点)
・合格基準:100点中60点以上(ただし、「試験結果を踏まえて試験委員会で最終決定される」という但し書きがあるので注意)
・試験時間:150分
・受講料:7,400円(税込)
・試験日:年2回(5月と11月)
【出題範囲】
1.事業承継の基礎知識
中小企業の事業承継と金融機関の関与/事業承継の類型と対応策の概要/事業承継の進め方/企業の価値評価/事業承継と金融機関のコンプライアンス
2.親族内承継
親族内承継の概説/自社株承継の法務/自社株承継の税務/自社株承継対策の方法/戦略的承継の方法
3.役員・従業員・外部への承継とM&A
事業承継M&Aの概要/事業承継M&Aの基本的な手順/役員・従業員への承継/事業承継M&Aへの金融機関の取組み/事業承継M&Aニーズへの対応 等
【難易度】
試験を受ける前に、専用の講座を受けて勉強することができます。講座期間は3カ月で、講座をきちんと受講すれば、難易度はそれほど高くないといわれています。
【合格率】
合格率は、受験者数が少ないため年度により差がありますが、平均すると「約55%」です。
②事業承継アドバイザー3級試験
事業承継アドバイザー3級試験は、銀行員の事業承継に関する相談の対応力向上を目的として設立された資格試験で、経済法令研究会(銀行員が受験する各種銀行業務検定試験を運営している団体)によって運営されています。
概要は以下のとおりです。
・問題構成:四答択一式〈一部事例付〉50問 (各2点)
・合格基準:100点中60点以上
・試験時間:180分
・受講料:4,400円(税込)
・試験日:年1回(10月)
【出題範囲】
・事業承継の基本知識(事業承継対策の基本と必要性・承継方法の決定と計画の立案・後継者教育)
・事業承継と金融実務(取引先の現状把握と課題の認識・各承継方法共通の基本知識・親族内承継に係る基本知識・親族外承継(従業員)に関わる基本知識・親族外承継(第三者)に関わる基本知識等)
・その他関連知識等(他の金融機関の事業継承関連の制度等・事業承継に関わるコンプライアンス)
【難易度】
2016年に始まったばかりということもあり、試験の難易度がまだ安定しておらず、情報が少なく対策を講じにくい状態です。推奨されている通信講座や模擬問題集などをこなすのが有効でしょう。
【合格率】
合格率は26∼55%程度のばらつきがあります。平均にすると36%程度です。
③金融業務2級試験
金融業務2級試験は、金融財政事情研究会(金財)によって運営されている資格試験です。金融業務2級試験はさまざまなコースがありますが、事業承継アドバイザーを目指す場合は「事業承継・M&Aコース」を選択しましょう。
概要は以下のとおりです。
・問題構成:四答択一式30問、総合問題10題
・合格基準:100点中70点以上
・試験時間:100分
・受講料:7,700円(税込)
・試験日:毎年不定期でWEB上にて配信開始
【出題範囲】
・事業承継関連税制等
・事業承継関連法制度
・M&A基礎知識・関連会計
・M&A関連法制等
・総合問題
【難易度】
過去問と似た形式で出題されることが多いのが特徴です。本試験で対策問題集と似たような問題が多く出題されるため、専用の試験対策問題集で繰り返し学習することが大切です。
【合格率】
50%から70%程度です。
まとめ
「事業承継アドバイザー」を名乗るためには資格取得が必要であり、相応の勉強が求められますので、この資格を持っている人なら一定の知識はあると考えていいでしょう。ただし、事業承継のサポートは「経験」も重要であるため、中小企業経営者は資格取得者だからといって安易に信じ切らないよう注意しましょう。
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