COLUMNコラム
事業承継の相談窓口は? 無料相談もできる?――相談先ごとの特徴を徹底解説
「事業継承に関する相談相手はどこで見つかる?」「窓口ごとに得意な支援や内容は違うの?」このような疑問を抱える社長や個人事業主、小規模事業者は多いことでしょう。大切な事業を安心して引継ぎするためにも、相談相手はしっかり選びたいものです。今回の記事では、事業継承の相談窓口を7つ取り上げ、相談先ごとの特徴やメリット・デメリットを解説しましょう。
目次
事業承継の実情は?
今日の事業承継の実態は親族内承継のみではなく、実に多岐にわたります。経済産業省の「2017年版中小企業白書」によれば、事業承継の後見人の属性は次の通りです。
親族外継承 | 19,104件 |
親族内継承 | 16,131件 |
経営者交代の全体数 | 35,235件 |
近年では、親族以外で後継者を立てる傾向が強く、親族外での事業承継が選択肢として増えているなかでは、適切な選択肢を教えてくれる窓口の活用は必須といえます。
事業承継の相談先は7つ! メリットとデメリットは?
事業承継について相談できる窓口としては、主に次の7つがあります。
①顧問税理士・公認会計士
顧問税理士や公認会計士は、相続税対策や財産の譲渡に関するプロです。古くからの付き合いがある知人や友人の税理士・公認会計士なら、課題に関する悩みを深く理解してくれるでしょう。税に関する職業に就いている方は、事業承継の事例紹介にも長けています。他企業の事例を情報提供してもらうことで、自身の事業承継に関する知識を深められるでしょう。
②弁護士・行政書士
法の専門家である弁護士・行政書士は、事業承継の相談先として一般的です。費用はかかるものの専門的な知識をもって解決策を提示してくれるため、将来の不安を円滑に解消してくれます。遺言書などの準備や契約書の作成相談にも乗ってくれるので、事業に関する将来の不安やトラブルを最小限に抑えることもできるでしょう。
③金融機関
取引している金融機関に、事業承継を相談することもできます。希望者への事業承継セミナーも行なっているため、事業承継を計画している場合は積極的に利用しましょう。しかし金融機関は弁護士・税理士などの専門家とはつながりがないため、利用してもすぐには事業承継を行なえません。
担当者との関係性が希薄な場合には、親密に相談に乗ってくれないこともあります。
④自治体の事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継専門の公的な引継ぎセンターを利用するのも、おすすめです。自治体の事業引継ぎ支援センターでは、次のような支援を受けられます。
●後見人が不在の場合における「第三者継承」のサポート
●親族や従業員に事業をスムーズに継承する「親族内継承」のサポート
●後継者不在のときに後見人を探す「後継者人材バンク」の提供
●事業承継の障害となる経営者保証の解除支援 など
全国47都道府県にある事業承継・引継ぎ支援センターの所在地は、中小企業庁の公式ホームページで検索してみてください。
⑤商工会議所
経営者向けに多種多様なサポートを行なっているのが、商工会議所です。入会者なら事業承継の相談を無料でできるのが魅力。自治体によっては事業承継相談デスクを設けており、そこではさまざまな専門家のサポートを受けられます。
⑥民間の事業承継コンサルタント
コンサルタントのなかには、事業承継に長けた方もいます。しかし、得意なジャンルはそれぞれ異なるため、自身の経営課題に強い方を選んでください。また、民間コンサルのなかには悪質な業者もいるため、利用する場合には入念な見極めが必要です。
⑦M&A仲介会社やM&Aアドバイザリー会社
M&Aに精通した仲介業者やアドバイザリー会社に相談すると、税理士や弁護士などさまざまな士業とのマッチングをしてくれます。M&Aのみを専門としている会社が多いため、実績豊富でノウハウも確立している傾向にあります。
M&A仲介会社やM&Aアドバイザリー会社は、企業を売却する場合の買い手への条件交渉や、雇用中の従業員・取引先への説明などについても長けています。注意点としては、着手金や依頼報酬がやや高めであること。予算を十分用意してから相談しましょう。
事業承継の相談先選びの3つのポイント
事業承継の相談先を選ぶにあたっては、次の3つのポイントがあります。
①最初は無料で相談できるところを選ぶ
事業承継の相談をするときは、まず無料の相談先から選択しましょう。事業承継は多額の資金がかかるうえに、長期戦になりがちです。できるだけ多くの資金を残すためにも、まずは無料の相談先を利用しましょう。
②自社の商材を押し売りしてくるところは避ける
コンサルのなかにはM&Aでの補助金情報を餌に、商材を売りこんでくる悪質な業者もいます。これらの押し売りを行なう会社を選ばないよう、注意が必要です。
③事業承継についての考え方が近いパートナーを選ぶ
いくら優秀な相談窓口でも、自身の事業承継の方針にあっていないなら選ぶのは避けましょう。方向性に迷ううちは、無料の相談先を利用し、まず知識を深めることが大切です。具体的な方向性がまとまったら、自身のパートナーとなる窓口を選ぶと失敗は少なくなります。
まとめ
はじめに無料の相談所を選び、方向性がまとまってから専門性の高い窓口を選ぶようにすると、事業承継の失敗も少なくなります。本記事でご紹介した7つの相談先のそれぞれで、得意・不得意な領域は異なりますから、自身の課題に合った窓口を見極めて相談しましょう。
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