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法律では「承継」が正解! 事業「承継」と事業「継承」の違い

会社を引き継ぐ際に使われる「事業承継」という言葉があります。その一方で、「事業継承」という、似た言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。「承継」と「継承」。響きは似ているものの、その本質的な意味は異なります。本記事では「事業承継」と「事業継承」の違いについて解説します。

「承継」と「継承」の違いは?

まず、「承継」と「継承」の違いを理解しましょう。

承継とは?

承継とは、「抽象度が高く、精神的で形のないものを引き継ぐ」という意味の言葉です。具体的には、地位や身分、事業、仕事などを引き継ぐときに「承継」を使います。

事業承継の文脈以外では、あまり耳にすることがないかもしれませんが、法律用語として正式に使用される言葉です。法律用語としては、権利や義務を引き継ぐことを指し、中小企業庁も「事業承継」という言葉を使っています。

例文としては「来年の春に事業承継する」「先代のリーダーシップ精神を承継する」などといった形になります。

継承とは?

継承とは、義務や財産、権利など、どちらかというと資格や経済的なものといった、先代が所有していた具体的な「モノ」を引き継ぐという意味合いの強い言葉です。

こちらのほうが、一般的には耳なじみのある言葉でしょう。法律的には「事業承継」が正しい表現ですが、「事業継承」といっても意味は通じますし、日本語として間違っているわけではありません。

例文としては「後継者に事業用資産を継承する」「伝統文化を継承する」などといった形があります。

そもそも事業承継とは?

事業承継とは、先代経営者が後継者に対し、自分の会社や事業を引き継ぐことを言います。

事業承継のタイミングには2つあります。

1.先代経営者の生前のうちに承継する
2.先代経営者が亡くなり、相続が発生したタイミングで承継する

やはり理想的なのは①です。先代経営者が頭も身体も健康なうちに、綿密に準備をして、ベストなタイミングで承継することを目指しましょう。

先代が亡くなったタイミングで承継することになると、残された従業員は大慌てすることになります。「後継者を誰にするのか」の話し合いから行わなければなりません。そうなると、しばらくの間、会社運営がストップしてしまうでしょう。

最適な後継者を慎重に選び、後継者に丁寧に引き継ぎをして、税金対策などもしっかり行った上で事業承継するのがベストです。

事業承継で引き継ぐ3つのもの

事業承継では、一般的に3つのものを引き継ぐこととなっています。

経営の承継(人の承継)

後継者に経営権を引き継ぐのが、事業承継の最も重要なミッションです。

大事に育ててきた事業を丸ごと渡すのですから、信頼のおける後継者を選ぶことが最大のポイントとなるでしょう。

経営権の譲渡は、後継者に対する株式譲渡によって行われます。

・2分の1超の株式を保有:株主総会の普通決議を単独で決定できる発言権が取得可能
・2分の3超の株式を保有:株主総会の特別決議を単独で決定でき、決議を成立させることが可能

なお、「後継者候補が多すぎる場合」と「後継者候補がまったくいない場合」のいずれも、大きなトラブルに発展したり、事業承継ができず廃業したりするリスクがあります。

前者の場合、先代が亡くなる前に、全員が納得する形で後継者を決めておかないと、親族内や社内で争いが起こり、最終的に会社が潰れてしまいかねません。

より問題が大きいのは「後継者候補がまったくいない場合」でしょう。後継者がいないことには、会社を続けていくすべはないからです。早急に後継者候補を見つけ、相手の合意を得て、育成に入るべきです。

特に中小企業においては、経営の承継(人の承継)は非常に重要です。中小企業だからこそ、先代が多くの業務を担い、取引先との強固な関係性を築いているケースも多いもの。後継者育成にはかなりの時間がかかると思っておいたほうがいいでしょう。

資産の承継

資産の承継とは、経営に必要な資産を引き継ぐことを指します。

具体的には、経営者が保有している株式や、不動産や設備などといった事業用資産、資金などが挙げられます。

ここではやはり、発行株式の承継が大きなポイントとなるでしょう。後継者が発行株式の過半数を取得できないと、経営権を持つことができません。

資産が大きければ大きいほど、相続税や贈与税も高額になってくるもの。早期から専門家に相談し、アドバイスを受けながら進めることが、後継者のためになります。

知的財産の承継

知的財産とは、ノウハウや技術、人脈などのことをいいます。主に無形のものであり、引き継ぐにはまとまった期間を要するものばかりです。

後継者が漏れなく承継し、会社をうまく運営していけるよう、時間をかけて会社のコアとなる知的財産を引き継ぎましょう。

まとめ

似ているものの、厳密には意味の異なる「承継」と「継承」。事業承継においては、法律的な言葉である「承継」を使っておくと、大きな間違いはないでしょう。

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賢者の選択 サクセッション編集部

賢者の選択サクセッションでは、⽇本経済の課題解決と発展のためには、ベンチャー企業の育成と併せて、これまでの⽇本の成⻑を⽀えてきた成熟企業∕中堅‧中⼩企業における事業承継をフックとした経営資源の再構築が必要であると考えています。 ビジネスを創り継ぐ「事業創継」という新しいコンセプトを提唱し、社会課題である事業承継問題に真摯に向き合うことで、様々な事業承継のケースを発信しています。 絶対解の存在しない事業承継において、受け継いだ経営者が事業を伸ばす きっかけとなる知⾒を集約していきます。

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