COLUMNコラム
事業承継をしたい人が、まず取り組むべきこととは?事業承継において引き継がれるものや親族内承継の注意点まで解説
事業承継をしたいと思っていても、その方法が分からなければ実行に移すことができません。
そこで本記事では、事業承継をするにはどうしたらよいか、事業承継で引き継がれるもの、親族への事業承継の注意点について解説します。
目次
事業承継で取り組むべき3つのポイント
事業承継には多くの課題や複雑な手続きが伴うため、適切な準備を行わなければ会社が廃業してしまうというリスクも考慮しなければいけません。
そこでまず取り組むべき以下の3つのポイントを紹介します。
①「会社の現状」を把握する
②「事業承継計画書」の策定
③「後継者」の選定と育成
①「会社の現状」を把握する
まずは会社の資産状況、株式保有状況、株式評価額などの会社の状況を把握しましょう。
これらは経営者でも意外と把握できていないケースも多いですが、事業承継に限らず会社経営を行う上で必ず確認しておくべき項目です。
また、同時に相続財産の特定、相続税額の試算、納税方法の検討などを行うことで円滑に事業承継を進められます。
相続税・贈与税は「事業承継税制」を活用することで、支払いが猶予または免除される可能性があります。
②「事業承継計画書」の策定
事業承継計画書とは、「いつ」「どのように」「何を」「誰に承継するのか」など具体的に事業承継の内容をまとめた書類です。
承継時期や後継者の選定基準を明確にし、関係各所に共有しておくことで事業承継実施時に理解や協力を得やすくなります。
③「後継者」の選定と育成
最後に、複数の後継者候補の中から冷静に経営者としての適性を見極め、納得のいく選定を行います。
事業承継では引き継ぎ先との相性も大切になるので、後継者を選定することは非常に重要です。
もし社内に適任者がいない場合は信頼できるプロのもとでマッチングを進めましょう。
あわせて後継者育成計画を策定して、後継者が必要なスキルや知識を習得できるように支援することで、事業承継の成功につながります。
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事業承継において引き継がれるもの
事業承継では以下の3つが承継されます。
①経営権
②事業資産
③知的資産
①経営権
経営権として引き継がれる要素は、主に社長の役割と経営権、後継者の選定・育成などが挙げられます。
会社の経営権とは、つまり支配権を指します。
すべての中小企業において、株式会社の最高意思決定機関は株主総会であり、そこで半数を超える議決権を有していれば、経営権を有していることになります。
ただし株式を引き継いだだけでは取引先や従業員などから経営者として認めてもらえない可能性が高いため、後継者教育を行って経営者としての資質を高めることも重要です。
②事業資産
事業資産として引き継がれる要素は、土地・建物、設備・運転資金、個人資産などが挙げられます。
事業資産の名義が会社であれば、株式を承継することで事業資産を自動的に引き継ぐことができますが、個人事業の場合はすべての資産を個別に後継者に承継しなければいけません。
また、資産の承継は契約書の作成や税金の申告などの手続きを行う必要があり、タイミングや対策次第では税金が大きく変わる可能性があります。
したがって、税理士、公認会計士などの専門家に相談することがおすすめです。
③知的資産
知的資産として引き継がれる要素は、経営理念、会社の信用力、ブランド、独自のノウハウ、技術、人材、人脈などが挙げられます。
会社内にはこういった目には見えないものの会社の利益の源泉となる知的資産がたくさんあります。
現経営者の知的資産があってこそ会社が成り立っているので、知的資産を引き継ぐことでスムーズに事業承継ができます。
親族内承継の注意点
親族内事業承継とは、子どもや兄弟などの親族に事業を承継する方法です。
関係者からの理解を得やすいというメリットがある一方で、後継者にふさわしい人材が親族にいない、親族間でトラブルに発展する可能性があるなどのデメリットもあります。
親族同士で経営権を争うリスクがある
親族内に後継者候補が複数いる場合、親族同士で経営権を争うリスクが高くなります。
役員や従業員まで巻き込むことになれば、派閥争いに発展し、社内が分裂してしまう恐れもあ
ります。
また、法定相続人が複数いると、事業用資産や株式を一括で承継することが難しく、遺留分などにより、親族間のトラブルになる可能性が高いので、生前贈与や相続対策を行い、誰が後継者であるのか、親族と社内に対して明らかにしておくことをおすすめします。
周りから反対され、組織力を失う
後継者となる親族者に経営の質があるとは限らず、業績の低迷や従業員の離反につながる恐れがあります。
また、後継者が別の企業に就職しており、事業承継を機に親や親族の会社に入社してくる場合、ほかの企業の影響を強く受けていることで、社内に亀裂が生じる可能性もあります。
そのような事態に陥れば、会社としての組織力を失い、経営の継続が困難になるのは明らかです。
いくら親族であっても、周りから承継を反対されるような人物であれば、親族外の第三者への承継を検討する必要があるでしょう。
個人保証の引き継ぎが認められない
先代経営者が融資の保証人になっていたり、個人資産を担保に入れていたりする場合、これらの個人保証や担保を引き継がなければなりません。
しかし、後継者に保証を引き継ぐだけの資金力があるのか、また融資を受けるために銀行から信頼を得られるのかどうかといった問題が発生します。
後継者はまだ実績が無く、個人保証の変更が認められない場合も多いので、承継前に個人保証を不要にする対策を講じておくと良いでしょう。
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まとめ
本記事では、事業承継の大まかな流れや承継するもの、親族内事業承継において注意すべきことを解説しました。
現在、中小企業の多くは後継者不在という問題を抱えています。
この問題を解決するには、早くから事業承継の準備を始め、社内で後継者育成を行っても適切な候補者がいない場合は、自社外の第三者に継承してしまうのも一つの手法です。
過去記事では、事業の一部またはすべてを他の会社に譲渡する事業譲渡についても詳しく解説しているので参考にしてみてください。
「事業譲渡と吸収合併の違いとは?事業譲渡について徹底解説」はこちら
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