COLUMNコラム
事業承継の支援策3つをご紹介! 知らなきゃ損な理由を解説
民間調査会社のデータによると、中小企業の廃業件数は増加しています。そこで、経営者の高齢化、後継者不足などを理由とした中小企業の廃業を減らすため、政府や民間団体はいくつかの支援策を用意しています。本記事では、事業承継を進めるうえで知っておくべき支援策を3つご紹介します。
目次
支援策①「事業承継マッチング支援」
事業承継マッチング支援は、後継者がいないことなどを理由に「事業を譲り渡したい」とお考えの方と、創業や新分野進出などを目的に「事業を譲り受けたい」とお考えの方をつなぐ、日本政策金融公庫(日本公庫)が提供している無料サービスです。
ニーズが一致する両者を引き合わせることで、廃業を回避させ、中小企業・小規模事業者の技術・ノウハウや雇用の喪失を防いでいます。
「事業承継マッチング支援」を利用するメリット
事業承継マッチング支援には以下の4つのメリットがあります。
【メリット①】小規模事業者の方の利用が中心
日本公庫の融資先の約9割は、小規模事業者です。事業承継マッチング支援においても、小規模事業者の利用が中心となっており、従業員数9名以下の個人事業主でもサービスを受けられます。
【メリット②】専門担当者のサポートを受けられる
日本公庫の専門担当者が、それぞれの希望に合った相手(マッチング候補)を探してくれます。また、マッチング後に困ったことがあっても対応してくれるので安心です。
【メリット③】無料で利用できる
譲渡希望・譲受希望のいずれの場合でも無料で利用できます。ただし、事業承継マッチング支援とは別に、弁護士などの専門家の支援を受けられる場合は、その費用を負担しなければいけない可能性があります。
【メリット④】事業を受け継いで創業(継ぐスタ)される方も支援対象
近年関心が高まっている「事業を受け継いでスタートする創業形態」のことを、日本公庫では「継ぐスタ」と呼んでいます。譲受希望の場合は、現在事業を営んでおらず継ぐスタを考えている方も、事業承継マッチング支援を利用できます。
支援策②「事業承継税制」
事業承継税制とは、後継者が中小企業の株式を相続や生前贈与で引き継いだときに、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。
事業承継税制は、それぞれの立場によって以下のように要件が定められています。
【先代経営者の主な要件】
・会社の代表者だったことがある
・相続・贈与の直前で、一族で議決権の50%超かつ一族の中で筆頭株主(後継者除く)
・代表を退任する、またはすでにしている(贈与の場合のみ)
【後継者の主な要件】
・会社の代表者である
・相続・贈与の直後で、一族で議決権の50%超かつ一族の中で筆頭株主(後継者が複数の場合はそれぞれ2位、3位)
・特例承継計画に特例候補者として記載がある、または相続の直前において役員である(相続の場合のみ)
18歳以上かつ役員就任後3年経過(贈与の場合のみ)
【認定対象会社の主な要件】
・承継法上の中小企業者
・非上場会社である
資産管理会社に該当しない
事業承継税制は2018年1月~2027年12月の10年間を限定とする特例制度です。ただし、この適用を受けるためには2024年3月31日までに、特例承継計画を策定して、都道府県知事に提出する必要があります。
また、事業承継税制は納税が猶予されてからが肝心で、もし納税猶予期間中に取り消し事由に該当すれば、猶予された税額と利子を納付しなければいけません。
支援策③「官公庁が提供する3つのツール」
最後に、官公庁が提供している事業承継に役立つツールを3つご紹介します。
「事業承継診断」
1つ目のツールは中小企業庁が提供している事業承継診断です。これは事業承継診断票という1枚のヒアリングシートによる診断で、まずは前提事項として経営者の年齢、業種、従業員数、売上を記載します。続いて11問の選択式の質問に答え、該当する質問の「いいえ」の数によって、それぞれの課題に対して必要な改善策がわかります。事業承継の準備をいつ始めればいいのかわからないという方は、積極的に利用することをおすすめします。
「事業承継診断票」はこちら
「ローカルベンチマーク」
2つ目のツールは経済産業省が提供しているローカルベンチマーク(通称:ロカベン)で、企業の経営状態の把握、いわゆる「企業の健康診断」を行うものです。企業の経営者と金融機関・支援機関などがコミュニケーションを取りながら、ローカルベンチマーク・シートを使用し、個別企業の経営改善や地域活性化を目指します。ロカベンシートは、「6つの指標」(財務面)、「商流・業務フロー」、「4つの視点」(非財務面)の3枚組のシートで構成されています。
「ロカベンシート」はこちら
「経営デザインシート」
3つ目のツールは内閣府の知的財産戦略推進事務局が提供している経営デザインシートです。これはひとことで言うと、将来を構想するための思考補助ツール(フレームワーク)で、自社や事業の「これまで」を把握し、長期的な視点で「これから」在りたい姿を構想できます。
事業承継の必要性の気づきのきっかけになり、企業支援者が適切な承継先の検討を促す材料にもなります。説明資料を含め、全26ページから構成されるシートですが、シートを埋めること自体が目的ではなく、書けるところから記載すれば良いので気軽に利用しましょう。
「経営デザインシート」はこちら
まとめ
本記事では、事業承継において役立つ支援策をご紹介しました。なかには要件を満たさなければ利用できないものもありますが、基本的には無料で利用できるものばかりなので、気軽に利用して事業承継を円滑に進めましょう。
過去記事では、新規事業に役立つフレームワークについてもご紹介しているのでぜひご覧ください。
(「新規事業に役立つフレームワークとは?新規事業立ち上げのポイントも解説」)
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