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大量集客、収益化を目指す「スタジアム・アリーナ」は地方の大きなビジネスチャンス 住民がスポーツ楽しむ施設とは区別

経済産業省とスポーツ庁は、まちづくりや地域活性化の核として「スタジアム・アリーナ改革」に取り組んでいる。スタジアム・アリーナ改革とは、スポーツを成長産業化の大きな柱とし、定期的に数千人、数万人を集客するスポーツ観戦を主な目的とした施設にしていく構想だ。地域住民がスポーツを楽しむ施設とは区別し、従来の低収益型から、大きな収益を生み出すプロフィットセンターへの脱却を目指している。

地方都市でも構想が拡大

このため、▷単機能から多機能▷行政主導から民間活力導入▷郊外立地から都心部立地-などの転換が掲げられている。さらに、スポーツセンターを地域のシンボルとして、観光地化や雇用創出など、大きな経済効果を期待している。

全国ですでに16のアリーナが選定されているが、5月に新たに3つが加わった。①川崎新アリーナ(川崎市)②長崎スタジアムシティ(長崎市)③等々力緑地球技専用スタジアム、新等々力アリーナ(川崎市)の3つだ。いずれも、「多様な世代が集う交流拠点」という観点から選定されている。

注目すべきは、「スポーツアリーナ改革」が、スポーツの成長産業化という大きな柱であることに加えて、地方再生というテーマを持っている点だ。現在選定された19件のうち、半数は大都市圏以外である。地方の中小企業には大きなビジネス・チャンスがありそうだ。

実際に、長崎スタジアムシティは、地元の有力企業であるジャパネットグループ(長崎県佐世保市)が主導している。まちの賑わい創出のような、キメ細かいビジネスは大手企業ではなかなかカバーしきれない面がある。地方の中小企業は、事業承継のタイミングなどで新たな分野として「スポーツアリーナ」に関わるビジネスを模索するのも手だ。

取材・文/ジャーナリスト 三浦 彰

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