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「お母さんの心の安定のため」離乳食にすごく便利なパウダー野菜 開発責任者は、子育て中だった元臨床心理士の社長だった

「大分県の野菜畑」と呼ばれる地にある、野菜の加工販売企業「村ネットワーク」は、「小さな村がつながることで世界を変えていく」という思いで2005年に設立された。應和春香社長(39)は、2023年12月に父・小原秀樹氏(現会長)から社長の座を譲り受けた2代目社長だ。元は臨床心理士だったという異色のキャリアを持つ應和社長が事業の舵を取り、子育て世代を中心に売上を伸ばしている野菜パウダー「VEGEMARI(ベジマリ)」について話を聞いた。

すぐに使えて、野菜の栄養は逃がさない

——「VEGEMARI」はどのような商品でしょうか。

應和 水冷の石臼を使って野菜をパウダー状に加工した商品で、少量の水で溶くだけですぐにペースト状になります。

栄養素と味と風味を逃がさない加工技術を用いており、通常の野菜の10分の1の量で同じ量の栄養を摂れます。「日本食品分析センター」の調査で、十分な栄養が残っていることが証明されています。

——離乳食などに便利だと聞きました。開発の背景を教えてください。

應和 「VEGEMARI」は、開発自体は私が2016年に村ネットワークに入社して少し経った頃から始まりました。「パウダー野菜事業を軌道に乗せてほしい」という父(現会長)から当時常務だった私への指示で、子育て支援を切り口にリブランディングしたんです。

めっちゃ便利、赤ちゃんが食べてくれる野菜パウダー

——ご自身の子育ての経験も関係しているのでしょうか。

應和 「VEGEMARI」を開発しているとき、自分の子どもがちょうど離乳食期だったので、試しに使ってみたらものすごく便利でした。

通常、野菜をペースト状にするのには、ものすごく時間も手間もかかるし、作ったと思ったら全然食べてくれなくてイライラする。さらにそれが子どもに伝わり、余計食べてくれない…という悪循環は、育児中のお母さんだったら誰もが経験しているのではないでしょうか。実際、臨床心理士として働いていた頃も、「野菜を食べてくれない」という相談はすごく多かったです。

「VEGEMARI」は少量の水で溶くだけですぐにペースト状になるので簡単だし、楽だから子どもが食べてくれなくてもストレスがありません。子育てにはお母さんの心の安定が大事だと思っているので、「そこをサポートできたらいいな」と思い、今の「VEGEMARI」が出来上がりました。

「時短」する自分を責めないで

——そんな「VEGEMARI」に應和社長が込める想いを教えてください。

應和 自分も子育てを経験して分かったのですが、世の中のお母さんは「時短すること」にすごく罪悪感を抱いています。時間をかけてご飯を作ったりお世話をしたりすることが愛情だと信じている方もいますよね。

でも、本当に大事なのは時短をしてでも子どもと向き合うことです。「VEGEMARI」には、「私が愛と時間と手間をかけて作った商品を提供するから、安心して時短してお子様と向き合う時間を作ってね」という気持ちを込めています。

味噌汁にも使えます

——「VEGEMARI」の魅力はどんな部分ですか

應和 離乳食だけでなく、普段の料理、例えばハンバーグなどに簡単に混ぜて使えるので、野菜の色が嫌いなお子さんにも気づかずに食べていただけます。むしろ野菜の出汁がしっかり出て美味しくなります。野菜が本来持っている旨味に、大人の方でも驚くと思いますよ。

——離乳食以外にも使えるんですね。

應和 もちろんです! 私が最近ハマっているのが、液味噌をお湯で溶いて「VEGEMARI」を少し加えた即席の味噌汁です。野菜の旨味もしっかり出た美味しい味噌汁が2〜3分で完成するので、時間がない朝食などにおすすめですよ。食物繊維が豊富なごぼうパウダーを使えば腸活にも効果的です。

野菜パウダーを世界のスタンダードにしていきたい

——「VEGEMARI」を通して、應和社長が成し遂げたいことを教えてください。

應和 パウダー野菜を世の中のスタンダードにすること、これに尽きます。

村ネットワークがある大分県豊後大野市は「大分の野菜畑」と呼ばれるくらい農業が盛んな地域なんですが、その分、農業の課題も多く見えてきます。重労働が厳しいせいで後継者不足に悩んでいたり、物価変動の影響で利益が安定しなかったり。

でも、もしパウダー野菜がスタンダードになって国内の消費量が増えたり、海外に輸出したりできるようになれば、農家さんの需要がグンと増えます。パウダー野菜は手作業で作るわけではないので、労働環境も改善され、雇用も増えるはずです。

さらに、「大きい工場を作ってパウダー野菜用の野菜を作る」農家さんがいたり、「無農薬にこだわったサラダ野菜を少量作る」農家さんがいたり、農家さんの選択肢も広がります。

パウダー野菜をスタンダードにすることで、農業は体力的にキツくて不安定なビジネス、というイメージを変えていきたいです。

村ネットワーク

料理人として20店舗ほどの飲食店を経営していた前代表の小原秀樹氏が、地元の余剰野菜や規格外の野菜を買い取り、主に学校給食用にカット加工して販売する株式会社村ネットワークを2005年に創業。その後、野菜の栄養やおいしさをパウダー状に加工する野菜パウダーの開発を企画。出産後数カ月で家業に入った應和春香氏は、野菜パウダーの開発を託され、開発責任者を任されるように。無添加で100%野菜の素材だけで加工したパウダーが完成。應和春香氏は、2023年12月に代表取締役に就任。

取材・文/川島愛里

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賢者の選択サクセッション編集部

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