COLUMNコラム
「日本的根回し」が事業承継に重要 「あなたにはお世話になってない」と言われないためには
中小企業の事業承継について専門家とともに学ぶ「サクセッションアカデミー」(主催・一般社団法人サクセッション協会)の講義が、4月10日に開催されました。2回目となる今回は、「事業承継のプロセスとステップ」というテーマで、事業承継が行われる各種フェーズについて解説しました。 アカデミーは、日本経済の課題となっている事業承継について、実例や知識を深く学び、経済活性化に資する目的で今年から始まりました。講師を務めるのは、メガバンク出身の同協会代表理事・原健太郎氏と、外資系企業等でコンサルティング業務を約30年以上務めた同協会フェロー中山良一氏です。
目次
事業承継には「根回し」が不可欠
事業承継を成功させるためには、会社にかかわるステークホルダーそれぞれの根回しが重要になると中山氏は言います。
7つのステークホルダーとは、「オーナー社長、株を持つ親族役員」「一般株主」「株を持たない従業員」などです。彼らに異なるアプローチ、コミュニケーションを行いながら、一連の利害調整の過程は書面に残すことの大切さを中山氏は強調します。
「先代にはお世話になったが」
事業承継では、計画的に後継者を育成していくことが大切です。親族を後継者にする場合、いきなり外部から役員に登用しても、取引先から「先代にはお世話になったがあなたにはお世話になっていない」と言われかねない、と中山氏は指摘します。
こうした事態を避けるために、「武者修行」しているところを周囲に周知させることや、徐々に会社の意思決定に参画させる、最終的に経営権を移譲させるようにステップを踏むことが大切だと解説しました。
「家族問題に外部の第3者を入れるのは抵抗が…」
質疑応答では参加者から、「後継者の選定において、外部アドバイザーを活用するという話があったが、誰に頼めばよいのかが難しい」という質問が出されました。
原氏は、「会社の経営課題によって選ぶべきアドバイザーが異なります。例えば、税務の問題であれば税理士などの専門家を見つけられます。しかし、家族間の問題となると適任者が見つかりにくく、事業承継を行っているコンサルティング会社に依頼するのがベターです」と説明しました。
中山氏は、「アドバイザーを選ぶ際は、その人が会社とどのような利害関係を持っているのかをしっかりとチェックすることが重要です。利益誘導されないよう、信頼できる人をある程度時間をかけて見つけるべきです」とアドバイスしました。
サクセッションアカデミーは、会社経営に関わる人や事業承継に興味を持つ創業希望者なら、誰でも参加可能です。詳しくは「賢者の選択サクセッション」ホームページから。
取材・文/松田謙太郎
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