COLUMNコラム
「私には、カリスマ性がない…」天才肌の社長から会社を継ぐとき、2代目・3代目が苦しまないために
中小企業の事業承継について、実例や知識を専門家とともに学ぶ「サクセッションアカデミー」が4月24日、東京都銀座及びZOOMによるオンラインで行われました。3回目の今回は、「成功事例と失敗事例の分析」というテーマで学びを深めました。 アカデミーは、日本経済の課題となっている事業承継について、実例や知識を深く学び、経済活性化に資する目的で今年から始まりました。講師を務めるのは、メガバンク出身の同協会代表理事・原健太郎氏と、外資系企業等でコンサルティング業務を約30年以上務めた同協会フェロー中山良一氏です。
目次
成功事例に学ぶことが何よりの事業承継の処方箋
事業承継について、原氏は「成功している企業の事例を積極的に学ぶべき」と、自社に取り入れ可能な点を見つけることの重要性を指摘しました。中山氏は「自社が成功事例にどれだけ近づいているかを確認して」と客観的評価をしながら承継を進めることを助言しました。
そして、成功事例として通販大手「ジャパネットたかた」の事例が紹介されました。
創業者・髙田明氏のカリスマ性で有名ですが、2015年に明氏から息子の旭人氏へ事業承継された後、売り上げを2倍近くに伸ばしました。ポイントは、「カリスマ経営から組織経営への変貌」だといいます。
原氏は「天才からの事業承継には、準備と、カリスマ経営者の持つ才覚を言語化することが必要です」と述べました。実際に「ジャパネットたかた」は、以前から旭人氏への事業承継を見据え、組織として綿密に準備していたといいます。「創業者(明氏)のカリスマゆえの課題を、旭人氏が関連会社で解決した経験が生きました」と中山氏は説明しました。
カリスマ性がない凡人2代目の事業承継成功の秘訣は?
セミナー当日、参加者からは「自分はカリスマ性がない2代目経営者であり、3代目への事業承継を成功させる秘訣は何か?」という質問が出されました。
原氏は、「カリスマがないことをむしろポジティブにとらえましょう。カリスマ経営からの脱却という苦しみはないはずで、2代目として受け継いだ経験があるからその苦悩を活かせ、自分が嫌だったことは3代目に経験させないようにもできます。カリスマ性がないということであれば、組織経営で社員を頼りましょう」とアドバイスします。
中山氏は、「カリスマ経営者ばかりではありません。事業承継は成功事例に学ぶことが大切で、自分の会社について考察し、今の時代にマッチした本質を見つけましょう」と説明。原氏は、「事業承継に教科書はありません。多くの事例をサクセッションアカデミーで学んでください」とセミナーを締めくくりました。
サクセッションアカデミーは、会社経営に関わる人や事業承継に興味を持つ創業希望者なら、誰でも参加可能です。詳しくは「賢者の選択サクセッション」ホームページから。
取材・文/松田謙太郎
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