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会社分割する際の登記方法とは? 登記の流れから必要書類まで解説

会社分割は、近年ではよく行われる事業承継の一つです。会社は商号・名称・所在地・役員名などを公示するために、商業登記をしなければなりません。会社分割には新設分割と吸収分割がありますが、どちらにせよ分割会社にも登記申請が必要となります。この記事では登記の手続きに関して、流れや必要書類、申請方法などを説明します。会社を分割する際にも、登記の手続きを忘れないようにしましょう。

会社分割の登記とは

そもそも登記とは

登記とは「個人・法人が持つ財産の権利義務を公に示すため、登記簿に記載すること」です。そのため、会社設立時以外にも、吸収合併したときや会社の住所が変更になった場合、役員が移動した際にも同じように登記手続きが必要となります。また、株式会社が新株予約権を発行したときには変更登記の申請が必要となるため注意が必要です。

会社を登記することを法人登記(商業登記)といいます。法人登記は会社法で義務付けられているため、必ず行わなければなりません。虚偽の登記を行ったり、登記そのものを怠ったりした場合、懲役や罰金などが科せられます。

社名や会社の所在地などを法人登記して初めて、会社を設立したことになるのです。そしてそれらに変更があった場合は、再度登記の手続きをする必要があります。常に最新の情報を記載しているものであることが、登記や会社が信頼できるものであることの証なのです。

吸収分割

吸収分割とは、譲渡側の会社が保持する権利や義務の一部、またはすべてを分割して、分割した会社に承継させます。

さらに吸収分割には「分社型吸収分割」と「分割型吸収分割」の2種類があります。

「分社型吸収分割」は自社の事業を分割して承継会社に譲渡する代わりに、金銭や株式などを分割会社が受け取るという手法です。対価が株式であった場合、分割会社が承継会社の株主となります。

事業の一つを分割して別の会社に承継するところまでは「分社型吸収分割」と一緒ですが、金銭や株式を分割会社の株主が受け取ることが「分割型吸収分割」です。分割会社の株主が株式を受け取った場合、承継会社の株主にもなります。

登録免許税は分割会社が3万円です。承継会社は合名会社・合資会社が3万円、株式会社・合同会社は下限を3万円とし、増加した資本金の額に0.7%をかけた費用が徴収されます。

新設分割

吸収分割は事業の一つを分割して別の会社に承継することですが、新設分割は承継する会社を新たに作ることです。新設分割は大きく分けて3種類が存在し、吸収分割と同じく対価の譲渡先が異なります。また、対価となるものも違い、金銭を用いることはできません。

「分社型新設分割」は、会社の事業を分割して譲渡する代わりに、株式を新設会社が受け取ります。事業を分割した側は親会社となり、された側は子会社となります。持株会社化するときに有効な手法で、子会社の経営方針などの策定を親会社が行えることが利点です。

「分割型新設分割」は対価の株式を譲渡した側の会社の株主が受け取る手法です。受け取った人は譲渡した側の会社と新設会社の両方の株主となります。グループ企業の再編などの際に、分割型申請分割が多用されます。

さらに吸収分割には存在しなかった「共同新設分割」という新設分割の手法もあります。これは分割する会社が1社だけではなく、複数の会社が新設分割を行うことを指しています。譲渡する事業は同じ事業でも違う事業でも問題はありません。

登録免許税は分割会社が3万円です。新設会社は合名会社・合資会社が3万円、株式会社・合同会社は下限を3万円とし、増加した資本金に0.7%をかける計算になります。
吸収分割・新設分割問わず、登記以外にも債権者の異議を一定期間受け付ける旨の、債権者保護手続きなども必要です。

登記手続きの流れ

法人登記を自身で行う場合、登記申請書や必要書類を準備し、法務局に登記申請を行うという流れになります。会社の代表者が申請を行う場合が一般的ですが、複雑な手続きとなるため必要であれば司法書士や行政書士などの専門家に相談しましょう。

あらかじめ業務内容・目的などを記載した「定款」や「登記事項証明書」などの書類を準備することになります。しかし状況によっては必要のない書類もあるため、よく確認したうえで発行し準備をしてください。例えば取締役と代表取締役が兼任する場合、代表取締役の就任承諾書は必要ありません。また、監査をおかない場合には監査の就任承諾書も必要ありません。反対に、株主名の書かれたリストを添付する必要がある可能性もあり、全部で10種類程度の書類を準備することになるでしょう。書類はオンラインでも請求できます。

登記申請は自ら法務局に赴く方法と、郵送する方法、もしくはオンラインで申請する方法の3つがあります。スケジュールとしては、書類に不備がなければ2週間弱程度で法人登記が承認されます。

吸収分割の登記方法

登記申請期限

吸収分割の効力発生日は、契約締結時に作成した契約書で決定した日付です。登記申請期限はその日から2週間となります。

必要書類

・会社分割契約書
・承継会社の株主総会議事録
・分割会社の株主総会議事録
・官報公告のコピー
・株主リスト
・会社分割に異議を述べた債権者がいない旨の上申書

また状況によっては別の書類が必要となるケースがあります。

登記申請場所

吸収分割の場合は、承継する会社の本店所在地にある法務局に申請します。

登記申請者

分割会社、または承継会社の代表者か、代表者から委任された行政書士が行います。

新設分割の登記方法

登記申請期限

新設分割の登記申請期限は株主総会の特別決議後2週間です。その期間に申請を行いましょう。

必要書類

・定款
・役員の就任承諾書
・役員の印鑑証明書
・会社法の規定に従って資本金が計上されていることを証するもの
・会社分割計画書
・分割会社の株主総会議事録
・官報公告のコピー
・会社分割に異議を述べた債権者がいない旨の上申書

登記申請場所

新設分割の場合は、新設する会社の本店所在地にある法務局に申請します。

登記申請者

分割会社、または新設会社の代表者か、代表者から委任された行政書士が行います。

まとめ

この記事では、事業承継の1つの手法である会社分割した際の登記について解説いたしました。複雑な登記申請ですが、司法書士事務所などに無料相談できる可能性もありますので、悩みがあれば電話やメールなどで気軽に問い合わせてみてください。また、相談だけではなく実際にサポートを受けることもおすすめします。その際には紹介されている案件や事例、報酬費用などの詳細を確認した上で利用するようにしましょう。

なお過去の記事で事業承継の流れを解説しています。ぜひご参照ください。
「事業承継の流れを7つのステップで解説!」

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賢者の選択サクセッション編集部

日本の社会課題である事業承継問題を解決するため、ビジネスを創り・受け継ぐ立場の事例から「事業創継」の在り方を探る事業承継総合メディア「賢者の選択サクセッション」。事業創継を成し遂げた“賢者”と共に考えるテレビ番組「賢者の選択サクセッション」も放送中。

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